Microsoft参入でビジネスチャット市場はどう変わるか
「Slack」から「Microsoft Teams」に乗り換えて幸せになれる人、なれない人の違い(1/2 ページ)
ビジネスチャット市場でのシェア拡大を目指し、Microsoftがチームコラボレーションツール「Microsoft Teams」の一般提供を開始した。人気のビジネスチャットツール「Slack」に真っ向から勝負を挑む。
クライアントOS「Windows」やオフィスアプリケーション「Microsoft Office」の場合とは異なり、Microsoftはコラボレーションとビジネスチャット分野への参入で後れを取った。既にSlack TechnologiesやGoogleといった手ごわい競争相手が、社内チャットのニーズを満たすツールを提供している。
こうした中、Microsoftは2017年3月15日、最新のチームコラボレーションツール「Microsoft Teams」の一般提供を開始した。同社の盤石な顧客基盤をターゲットに据えることで、ビジネスチャット市場でのシェア拡大を目指している。
Officeやメールソフト「Microsoft Outlook」など、Microsoftの製品は既に企業のビジネスプロセスに深く浸透している。そうした強みを生かすべく、MicrosoftはMicrosoft Teamsをクラウド版オフィススイート「Office 365」の法人向けライセンスにバンドルし、Office 365の各サービスとの連係機能を用意した。
調査会社Constellation Researchの副社長兼主任アナリスト、アラン・レポフスキー氏によれば、Microsoft TeamsはOffice 365にとってのあるべき姿を具現化しているという。「会話、文書、メッセージング、音声、動画、プロジェクト管理などを全て1カ所にまとめる統合的なフロントエンドだ。今後はMicrosoft Teamsが新たなスタート地点となり得る」と同氏は語る。
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Microsoft Teamsについてもっと詳しく
Microsoft製品との連係
Slack Technologiesの「Slack」やAtlassianの「HipChat」といった競合製品と比べて、Microsoft Teams最大の強みは、Microsoftの各種の人気ビジネスアプリケーションと連係できる点にある。2017年を通じて、連係可能な製品が順次増やす予定だ。
MicrosoftはMicrosoft Teamsの一般提供開始時のWebセミナーにおいて、各種アプリケーションとの緊密な連係を披露した。例えばスレッド化された会話に、文書作成ソフト「Microsoft Word」や表計算ソフト「Microsoft Excel」で作業中のドキュメント/スプレッドシートを直接追加できる。ビジネス分析ツール「Power BI」向けのタブを利用すれば、キャンペーン分析機能を簡単に利用できる。Microsoft Teamsから、企業向けコミュニケーションツール「Skype for Business」のグループ通話への迅速な切り替えも可能だ。
一方で純粋にMicrosoft Teamsの機能に対して興味を持つ層にとっては、OfficeなどのMicrosoft製品との連係は最大の障害となるかもしれない。「Microsoft Teamsの最大の強みは、同時に最大の弱点でもある」とレポフスキー氏は指摘する。Office 365ファミリーとの連係はさまざまなメリットをもたらす一方で、代償を伴う。例えばSlackはWebサイトにアクセスしてドメイン名を入力するだけですぐに使い始めることができるが、Microsoft Teamsの利用はそこまでシンプルではない。
既にOffice 365を利用している企業であれば、Microsoft Teamsを気軽に試すことができる。だがビジネスチャットを導入したばかりの小規模企業にとって、Microsoft Teamsの幅広い機能を十分に試すのは難しい。「強固な連係機能にMicrosoftの顧客は満足するだろう。だがSlackやHipChatのユーザー企業の移行を促すことにはならないのではないだろうか」とレポフスキー氏は語る。
Slack人気は盤石
Slackからユーザー企業を奪いたいのであれば、Microsoftは企業によるMicrosoft Teamsへの移行を支援するためのソフトウェアを提供する必要がある。移行の理由がコスト的なものであれ、機能的なものであれだ。
レポフスキー氏によれば、この先、アップデート時に製品価値をさらに高めることができるかどうかが、全てのサードパーティーベンダーにとって重要なカギになるという。同氏は「SlackとMicrosoftの両方を気に入り、両方にお金を支払う企業も出てくる可能性がある」と語った上で「製品の移行は、スイッチを入れるだけで済むような簡単なことではない」と強調する。「Microsoftにとって次に重要なのは、自分たちには競争力だけでなく移行をサポートする力があると示すことだ」(同)
それでも長らくSlackを使っているユーザー企業の気持ちを動かすのは難しいだろう。そうしたSlackユーザー企業の多くは、Slackに強い愛着を抱いており、今や“Slack”という単語は動詞化しているほどだ。
Microsoftが2016年11月にMicrosoft Teamsを発表した際、不動産業者SquareFootの共同創業者兼CEO、ジョナサン・ワッサーストラム氏は社内でのSlackの使用について次のように語っている。「当社は『Slack』という言葉を動詞のように使っている。“Slack me back(折り返しSlackして)”といった具合だ。仮に明日、コスト削減のためにSlackの使用を止めると従業員に通達したら、どうなることか。そのようなリスクを冒す価値はない」
エンタープライズ市場でのMicrosoftとの競争力を高めるべく、Slackは2017年1月、Slackの大企業向けプラン「Slack Enterprise Grid」をリリースした。従業員数500人以上の企業での普及を狙ったプランだ。
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