802.11acよりも「エキサイティング」
“10ギガビット無線LAN”が現実に? 新規格「IEEE 802.11ax」とは何か
新しい無線LAN規格「IEEE 802.11ax」は、「IEEE 802.11ac」をはじめとする現状の無線LAN規格と何が違うのか。要点をまとめた。
無線通信を話題とする現在の主要なネットワークカンファレンスでは、無線LANの新規格「IEEE 802.11ax」について取り上げるセッションが必ずといってよいほど存在する。言うまでもなく、現行規格「IEEE 802.11ac」に続く大きな波となるこの新規格の開発担当者は、既にこのエキサイティングな技術に入れ込んでいる。
IEEE 802.11axとは
IEEE 802.11axは、約10Gbpsに達するともいわれる高速なデータ伝送速度を実現する。無線LAN業界団体のWi-Fi Allianceが策定するIEEE 802.11acのフル仕様「802.11ac Wave 2」と比べて、約40%の高速化だ。
既存の無線LAN技術は、IEEE 802.11axも基盤技術として採用している。例えば複数のアンテナを利用し、送信データを複数の信号(空間ストリーム)に分割して同時伝送する「MIMO」(Multiple Input Multiple Output)、現代の携帯電話ネットワークを支えるLTE(Long Term Evolution)技術などだ。
さらに「OFDM」(直交周波数分割多重方式)などの周波数分割多重化技術を採用して、スペクトル効率(一定の周波数帯域幅で伝送可能なデータ量)を大幅に向上させる。結果として高速化が実現でき、アプリケーションやサービスにアクセスできるモバイルユーザーを増やすことが可能になる。
IEEE 802.11acのライフサイクルは、まだ到底終わっていない。ではいつからIEEE 802.11axのことを気にし始めればいいのだろうか。
速いペースで進化を続ける無線LANの性質を考えると、IEEE 802.11axは承認が予想される2019年より数年前にブームが到来してもおかしくない。そのエキサイティングな側面については、Hewlett Packard Enterpriseが買収したArubaのチャック・ルカゼウスキ、エルダッド・パライア両氏が2016年と2017年の無線LANイベント「Wireless LAN Professionals Conference」で披露したプレゼンテーションのような形で、十分に取り上げられている。そうしたセッションでは多くの聴衆から「IEEE 802.11axはいつから気に掛けるべき存在になるか知りたい」という声が上がった。
できるだけ早期に、というのがその問いに対する答えだが、1つ注意すべき点がある。IEEE 802.11ax規格は多くの点で、無線LANの様相を一変させる。もし初期の期待通りなら、企業内無線LANの複雑さも、さらに高密度の無線LAN環境で実現できる性能も、IEEE 802.11acを桁違いに上回る。
プロトコルの土台の多くが変わり、無線LANは3G/LTE回線などの携帯電話回線に近くなる――。この例えは一般的に、無線LANアクセスポイントが、個々の運用レベルで現在よりもはるかに多くを担う状況を表すときに使われる。それが注意点につながる。
IEEE 802.11axに関する知識の習得
IEEE 802.11axがどんなものになるかを解説したリソースは豊富にある。この分野に関わる者は誰であれ、今から知識を蓄えておく必要がある。もしこの規格の開発に実際に携わる人物が、業界イベントなどで講演する機会があれば、ぜひともその機会を活用してほしい。
現在のIEEE 802.11ac規格でさえも十分に把握していないのであれば、IEEE 802.11axに関するさらに高レベルの話には、目が回るだろう。営業やマーケティングの担当者も含め、無線LAN関連の職種に携わる者は、今のうちから無線LAN関連の資格試験を手掛けるCertified Wireless Network Professional(CWNP)の「Certified Wireless Network Administrator」コースを受講することを勧める。
現在の企業内無線LANについて確実な知識を身に付ければ、いずれ普及するIEEE 802.11axを理解する助けになる。ただし私たちのようにエキスパートと見なされている者でさえも、新しい標準の登場に際してはかなりの学習を要することが予想される。だから私たちは今、できることを学んでいる。
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