2018年02月27日 05時00分 公開
特集/連載

中間層の開発者が対象IDE「AWS Cloud9」の注目度が高まる、Microsoftの開発者基盤を脅かすか

Amazon Web Services(AWS社)は統合開発環境(IDE)「AWS Cloud9」を携えて、Microsoftが最重点分野として長年支配してきた開発者コミュニティーに挑戦する。

[Darryl K. Taft,ITmedia]

 覇権を争うクラウドプラットフォームの各プロバイダーは、自社のサービス導入を広げるため開発者に照準を合わせている。

 クラウドプラットフォーム大手の最重要課題は、できる限り開発者フレンドリーになり、新たな開発者を引き付けることだ。これを行っているのがMicrosoftとAmazon Web Services(AWS社)だ。例えばAWS社は2017年11月27日から12月1日にかけて開催した「AWS re:Invent 2017」カンファレンスで、任意のWebブラウザからアクセスできるクラウドベースの統合開発環境(IDE)「AWS Cloud9」を発表した。コードの作成、実行、デバッグを行うためのIDEは、他のクラウドプロバイダーと競争するAWS社にとって欠けていた部分だ。

 「AWS社はついにAWS Cloud9で開発者に『居場所』を用意した」と語るのは、サンフランシスコのConstellation Researchでアナリストを務めるホルガー・ミューラー氏だ。AWS Cloud9は、他のクラウドプロバイダーと競争するAWS社にとって欠けていた部分を補うことになる。こうした競合プロバイダーの中でも、特にMicrosoftは開発者ツールおける長年の強みと開発者コミュニティーとの関係をこのクラウド時代にも拡大し続けている。

 実際、MicrosoftのIDE「Visual Studio」エコシステムで育ってきた開発者は、当然のように「Microsoft Azure」を選んでいる。これは両者が互いに最適化されているためだ。だが、全ての開発者がVisual Studioを使用するわけではない。そのため、クラウドプロバイダーはさまざまなオープンサービスセットを提供してこうした開発者を引き付けなければならない。そこでAWS社は2016年にCloud9を買収し、AWS Cloud9に統合した。これでAWS社は最適化された独自の開発者プラットフォームを手に入れるに至った。

AWS Cloud9の導入

 AccentureでAccenture AWS Business Groupのマネージングディレクターを務めるクリス・ベークマン氏は次のように語る。「当社がAWS Cloud9を利用することになるのは間違いない。当社はこれまで多くのネイティブツールを使用している。だが、アプリ開発ツールにはしばらくの間ギャップがあった。こうしたギャップはCloud9などのサードパーティー製ツールを使って埋めていた。それが『Amazon Web Services』(AWS)の一部となったのだから」

 AWS社はこのAWS Cloud9でクラウドを重視したIDEエクスペリエンスを提供する。これは、主要競合会社がIDEで開発者にAWS対応のツールキットを使用させているのに対抗する。こう語るのは、Moor Insights & Strategyでアナリストを務めるレット・ディリングハム氏だ。

 「同社はAWSと緊密に統合するIDEを提供するようになる。例えば、『AWS Lambda』を使ってサーバレスアプリを構築する場合、AWSは『AWS コマンドラインインターフェイス』を使用するために、リアルタイムのペアプログラミングとターミナルへのダイレクト接続を備えた機能セットを構築している」(ディリングハム氏)

 こうした統合は、使い慣れた開発環境から開発者を切り離す鍵になる。

 「AWS Cloud9のニュースを見たとき、素晴らしい、この市場に新たな競争相手が加わったと感じた」と語るのは、ワシントンDCのクラウドファンディング企業GlobalGivingでシステムとクラウドのアーキテクトを務めるジャスティン・ラップ氏だ。同氏は、人気のMicrosoftツール「Visual Studio Code」(VS Code)を使用している。VS CodeはMicrosoftの「Windows」、Linux、Appleの「macOS」に対応する軽量のコードエディタだ。

 AWSの課題は、現在使用中のツールを気に入っている開発者を魅了することにある。これは非常に難しいだろう。こう語るのは、Forrester Researchでアナリストを務めるマイケル・フェースマイア氏だ。「私自身も開発者だが、VS Codeの使用をやめるつもりはない」と同氏は話している。

 今のところ、AWS Cloud9は現在の開発者に何かを提示する「足掛かり」で、これから時間をかけてこれを育てていくことになるとフェースマイア氏は話す。例えば、AWS Lambda関数を調整するのであれば、開発者はAWS Cloud9が提供するクラウドエディターを開くだけで済むようになる可能性がある。

 「これはAWSへの入口になる。AWS社は優れた機能を数多く提供しているが、その機能を利用するためのツールが欠けていることが問題だった。AWS Cloud9はこの大きな問題へのきっかけになる」(フェースマイア氏)

どのプロバイダーがより開発者フレンドリーか

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