医療用アプリケーションは増加傾向
臨床の現場でスマートフォン向けアプリケーションの利用は進んでいるのか?
IQVIAソリューションズ ジャパンは、スマートウォッチや血糖値測定器などのコネクテッドデバイスおよびスマートフォン向けのヘルスケアアプリケーションに関する調査結果を発表した。
医療・ヘルスケア領域でコンサルティングなどのサービスを提供するIQVIAソリューションズ ジャパンは、2018年7月4日、世界のヘルスケアアプリケーションの動向を基に、日本の動向を調査した結果を発表した。
IQVIAの調査部門であるIQVIA Instituteが2017年度に発表した調査結果によると、「Google Play」と「App Store」で公開されているヘルスケアアプリケーションは年々増加し、グローバル合計で31万8000以上あるという。しかし、1000万回以上ダウンロードされているアプリケーションは調査実施の時点で41個であり、「多くの人に利用されているサービスは限られている」と同社取締役バイスプレジデントの前田琢磨氏は考察する。
米国の場合、アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を受けているアプリケーションは増加傾向であるが、その多くは疾患指導や管理を支援するモニタリング機能に限定した承認だという。処方薬の調剤や診療などといった、治療行為の支援を目的として承認を受けたアプリケーションは、現状ではほぼ存在しないという。
しかし「ヘルスケア領域のアプリケーション開発の流行は世界的に変化している」と前田氏は語る。
疾患管理や服薬管理などの医療アプリが増加傾向
IQVIAの「AppScript」(患者にとって有用なヘルスケアアプリケーション選びを支援する医療従事者向けのツール)のデータベースを用いて、2015年から2017年の間に公開されたアプリケーションの傾向を分析すると、生活習慣やフィットネスなど日常の健康管理に関するアプリケーションの全体に占める割合と比較して、疾患管理や服薬管理といった医療に関係するアプリケーションの公開割合が年々大きくなっているという。
前田氏は、「医療に関するアプリケーションは、現状では医師が患者と遠隔で連絡を取り合うためのツールとして使われることが多い」と説明する。特にアプリケーションの活用が進んでいるのは治験の用途だ。ITツールを用いることで、紙ベースの業務プロセスよりも負担なく多くの被験者を募ることができる。治験参加中の患者を遠隔でモニタリングしたり、連絡を取り合ったりすることも可能だ。
また、IQVIAは2017年8月時点でAppScriptが蓄積していたデータベースから、Webアプリケーションを利用した治療の有効性を評価する研究(論文)の数と、その研究結果を分析した。有効性研究の中では特に、糖尿病、がん、脳卒中の分野で効果があるという評価を得ているという。
日本語の医療アプリは?
日本語でリリースされているアプリケーションは、AppScriptのデータベースに含まれる言語別60万6663のアプリケーションの中では6%という結果であり、英語のアプリケーション数と比較して8分の1程度だった。日本語でリリースされているヘルスケアアプリケーションは、日常の健康維持を目的とした製品を中心に増加傾向だという。ただし前田氏によると、医療用途として公開中、または実証試験中の日本製アプリケーションも公開されており、不眠症状の治療を目的にサスメドが開発する「Yawn Green」、禁煙治療を目的としたキュア・アップの「CureApp禁煙」、医療関係者間のコミュニケーションを支援するアルムの「Join」などがある。
前田氏は、医療用アプリケーションの臨床導入率は米国でもいまだ高くないと解説する。その理由として、アプリケーションそのものの利用実績が少ないために本格的な医療への応用を慎重視している点、規制当局における承認審査の判断基準や手続きが発展途上である点、医師にとってユーザーインタフェース(UI)が使いにくいアプリケーションが多い点を挙げた。
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