新型コロナ対策のテレワークでITトラブルが急増? IT投資動向にも変化がテレワークがIT部門に与えた影響【中編】

テレワークの推進は、企業のIT投資の動向にも影響している。調査結果を基に、企業が直面した具体的な変化を説明する。

2020年05月19日 05時00分 公開
[Beth PariseauTechTarget]

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染拡大に伴いテレワークへの移行を進める企業では、IT部門が新たな課題に直面している。前編「在宅勤務1割から9割へ急増のバイオ企業、悩みは『社員宅の無線LANトラブル』」に引き続き、テレワークの推進が企業に及ぼす影響を説明する。

 IT部門の奮闘とは裏腹に、インシデント数は増加している。インシデント管理ツールを提供するPagerDutyが1万2000社以上のユーザー企業を対象として実施した分析によると、2020年3月はインシデント数が倍増したという。特にオンライン学習やコラボレーションサービス、旅行、エンターテインメントサービスなどの業種でインシデント数が急増し、最大でテレワーク移行前の11倍に上昇した会社もある。

 「Microsoft Teams」やZoomの同名サービスなどのコラボレーションツールを使用する企業のIT担当者は、トラブルの増加を肌で実感している。これらのツールはテレワークの急増で負荷が増大し、ユーザー体験への影響が出ている。

 ITオートメーションコンサルティング企業EITR Technologiesは、Dialpadが提供するWeb会議サービス「UberConference」を利用している。EITR Technologiesの最高経営責任者(CEO)であるニコラス・ヒューズ氏によると、2020年3月中旬の時点では、UberConferenceの音声や動画の質が低下することがあり、当時は断続的なトラブルがあった。ただし「その後は安定している」とヒューズ氏は語る。

企業のIT投資はより“保守的”に

 IT部門の業務だけでなく、IT予算の優先項目も急激に変化している。調査会社Pulse ResearchがITリーダー100人を対象として実施した調査によると、2020年3月時点で、企業は短期的に5〜10%の支出増を計画する傾向にあり、回答者の13%が社内や顧客とのコラボレーションツールの導入を重視している。同調査の回答者はそれ以外に優先して投資する項目として、リモートデスクトップツール、モバイルセキュリティツール、ウイルス対策ツールなどを挙げている。

 Pulseの最高マーケティング責任者(CMO)、ラス・ギル・ブーロス氏によると、2020年初めの時点では、多くのITリーダーが機械学習などの人工知能(AI)ツールに重点を置いていた。だが「その多くは近い将来の計画から除外された」とブーロス氏は説明する。イノベーションに投じるはずだった予算は、必要に迫られた出費に当てられることになったというのが、同氏の見方だ。

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