企業におけるCRMの導入状況、導入意欲は? 読者はどのようなCRMを求めているのか? TechTargetジャパンで行ったアンケート結果を見ていこう。
CRMは企業でどれほど利用されているのだろうか。IT専門調査会社のIDC Japanが2008年2月に発表した「国内ITソリューション市場 2007年の分析と2008年〜2012年の予測」によると、CRM市場の2007〜2012年のCAGR(年間平均成長率)は6.0%で、2012年には6245億円の市場規模に達するという。SaaS型CRMの台頭で注目度が高まっているのは事実だが、一方で日本では自社開発したCRMを利用している企業も多いと聞く。
そこで、TechTargetジャパンは、2007年12月末から2008年1月末にかけて読者を対象に「CRM利用動向調査」を実施した。これに対して81件の回答が寄せられ、現在の導入状況、導入検討中の企業が検討しているアプリケーションと導入の目的など、興味深い結果を得ることができた。
まず、読者が所属する企業のCRM導入状況について質問した結果が以下のグラフである。
CRMの導入状況は、「導入済み」が39%となった。「2年以内に導入予定」の企業は少ないが、「導入を検討中」は22%に上った。「導入済み」「2年以内に導入予定」「導入を検討中」を足すと全体の6割を超え、多くの企業がCRMを実際に使っている、もしくは興味を持っているという現状がうかがえる。
CRMを「導入済み」と答えた読者に、「社内構築型(パッケージ)」あるいは「ASP/SaaS型」のどちらを導入しているか質問したところ、社内構築型が62%、ASP/SaaS型が38%という結果となった。
一方、CRMを「2年以内に導入予定」「導入を検討中」と答えた読者の興味は、社内構築型が40%、ASP/SaaS型が60%となった。導入済み企業の状況と、検討中の企業の興味の結果は間逆となっている。
確かに最近のCRM関連のニュースはSaaSに関する話題がついて回る。パッケージCRMの代表格「Siebel CRM」は既にSaaS型でも提供されているし、「Salesforce」は連携製品がさまざまなベンダーから発表されている。そしてマイクロソフトの「Microsoft Dynamics CRM」も新版(4.0)でSaaS型の提供を開始するという。こういった大手ベンダーのSaaS提供・連携製品が続々発表される現状を見ても、SaaS型CRMの伸びは今後も加速していきそうだ。
続いてCRMの導入目的について尋ねた結果が以下のグラフである。
CRM導入の目的は、「営業力強化」と「情報・知識共有」が66.7%と最も多く、次いで「顧客満足度の向上」と「マーケティング支援」が続くという結果だった。導入によるコスト削減の意識はあまり高くなく、ビジネス拡大のために使うという「攻め」の意志がCRM導入に働いているようだ。
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