2008年を迎えようとしている今、ようやく日本企業でもCRMを本当に活用できる環境になりました。過去10年間、この国のCRMの導入を阻んでいたのは以下の3つの問題だったとわたしは考えています。
この中の1と2が「SaaS型」という選択肢によって解決されました。今後は急速にCRM導入企業が増え、それを活用して営業やマーケティングの手法を根底から変えようとする企業がどんどん出てくるでしょう。そこで今回はCRM導入がなぜ失敗し、どうしたら活用できるかをわたしの経験から書いてみます。
こうした思いは経営者なら誰でも考えることです。電話帳を片手にアポ取り電話をかけまくり、飛び込み訪問を美徳とする「プッシュ型セールス」が活躍できる製品やサービスはどんどん減っています。セキュリティの厳しくなった今では、アポイントなしではビルに入ることすらできません。顧客との関係も営業案件の進ちょくも、まったく予測できません。
こうした問題を解決すると期待されたのがCRMで、企業のマーケティングの進化を一気に加速させる夢のソリューションのはずでした。サイベース出身者からブロードビジョンが生まれ、オラクルからシーベル、ピープルソフト、セールスフォース・ドットコムが、マイクロソフトからクラリファイが生まれました。これらCRMベンダーが提供する製品はどれも素晴らしい機能を備え、魅力的で、それを導入すれば昨日までの悩みがすべて解決するような幻想を抱かせてくれました。これらのCRMが日本に入ってくれば、「先進国の米国と同じプラットフォームでマーケティングができる」「日本企業のマーケティングも一気に米国に肩を並べることができる」と考えたものです。しかし、米国やヨーロッパでうまく運用できたシステムも日本ではほとんど役に立ちませんでした。
わたしは講演などで「残念ながら、日本ではCRM導入の成功事例はほとんどありませんでした」と話すことがあります。そのときに「ちゃんと成功している事例はたくさんある」という意味のご意見を頂くことがあります。後でよくお話を聞いてみると、そういう方は大抵CRMを扱っているSIベンダーの方で、その方の言っている「成功」とは「検収」なのです。まともなパッケージをまともなSIベンダーが、まともなコンサルタントをアサインして導入すれば、検収までは行くに決まっています。わたしが言っているのは、動作確認、負荷テストを経て検収印をもらい、エンジニアやコンサルタントが請求書を置いて帰っていった後の「運用」の話です。
わたしの会社も過去10年間に、多くの業種・業態・規模の企業へのCRM導入のお手伝いをしましたが、ほとんどの案件で検収までは行くのですが、導入前に経営陣に期待されたほどにビジネスを変革したかと言われると、残念ながら「NO」と答える以外にありません。
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