中小企業が限られた予算をITに振り向ける上でぜひ検討したいのが、IT関連優遇税制やベンダーが実施する支援制度。初期投資の負担を減らせるだけでなく、運用後の状況変化に伴う投資も軽減することができる。
前回記事「ハードウェア購入で役立つレンタル/リースの基礎知識」では連載の第2回と第3回の順番を入れ替え、レンタル/リースの基本について紹介した。当初第2回として予定していた「中堅・中小企業向けの支援制度の活用方法」は、政府の税制調査会の方針が未確定であったため、その結果を待ってからの解説とさせていただいていた。そうした中、2009年12月22日に税制改正大綱が閣議決定され、ようやく中小企業向け優遇税制の今後が明らかになった。そこで今回は、2010年4月以降のIT関連の優遇税制の最新情報と、各ベンダーが独自に提供する支援制度について解説していくことにする。
これまで中堅・中小企業が利用できるIT関連優遇制度としては、「中小企業等投資促進税制」と「情報基盤強化税制」があった。いずれも2010年3月末で期限を迎えるものだが、現行制度の内容をいったん整理しておこう。
・中小企業等投資促進税制(2010年3月まで)
企業がIT関連機器(ハードウェア)やソフトウェアを購入する際に特別償却や税額控除といった会計上の処理を認める制度(この制度そのものの対象はITだけでなく、企業が事業を営むための設備投資全般となっている)。
項目 | 区分 |
---|---|
対象となる企業 | 特別償却の場合:資本金1億円以下の法人(大企業の子会社などを除く) 税額控除の場合:資本金3000万円以下の法人など |
対象となる資産と価額 | 単体での取得価額が120万円以上のコンピュータ、およびデジタル複合機または取得価額が70万円以上のソフトウェア(研究開発用途およびOSは除く) |
適用な可能な処理 | 取得価額の30%までの特別償却または取得価額の7%までの税額控除(※) |
※詳細な条件については国税庁のWebサイトを参照のこと。
・情報基盤強化税制(2010年3月まで)
情報処理システムのセキュリティ強化を主な目的として、IT関連投資に対して特別償却や税額控除といった会計上の処理を認める制度。
項目 | 区分 |
---|---|
対象となる企業 | すべての企業 |
対象となる資産 | ・サーバ用OSおよびそれがインストールされたサーバ機器 ・データベース管理ソフトウェア(DBMS)およびそれを利用するアプリケーション ・IPA(情報処理推進機構)が認めた製品リストに該当する各種の連携ソフトウェア ・ファイアウォール(ただし上記3つと同時に設置されたもののみ) |
対象となる価額の条件 | 資本金1億円以下の法人や個人事業主の場合:70万円以上 資本金1億円超〜10億円以下の法人の場合:3000万円以上 資本金10億円超の法人(※):1億円以上 |
適用な可能な処理 | 取得価額の35%までの特別償却または取得価額の7%までの税額控除 |
※資本金10億円超の法人については特別償却や税額控除の上限は200億円まで。詳細な条件については国税庁のWebサイトを参照のこと(同制度は2008年3月31日が期限であったが、その後2年間延長されている)。
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