第5回 MKS Integrity
要件変更の影響追跡が強みのALM「MKS Integrity」
アプリケーション要件が変更された場合、開発者はその影響範囲を追跡する必要がある。しかし、設計書やソースコード、テストケースなどチェックすべき項目が多いのが悩みの種だ。
単一アーキテクチャのALMソリューション「MKS Integrity」
ALM(Application Lifecycle Management)ソリューションが市場に提供されてきた過程は多岐にわたる。例えば構成管理ツールなど、特定の工程を管理するツールを中核にほかのツールとの連携を強化したソリューションがある。また、企業統合によって製品のラインアップを拡充させ、各ツールのデータ連携やユーザーインタフェースを統一させる共通基盤を独自開発して提供するベンダーも存在する。
そんな中、MKS Integrity(※)のマーケティングマネージャー 中澤好明氏は、同社のALMソリューション「MKS Integrity」について、「単一アーキテクチャ上で、アプリケーションの要件管理からリリース管理までのすべてのライフサイクル管理をサポートする、市場では唯一の製品だ」と語る。その利点は一体何だろうか? 今回は、MKS IntegrityのALMソリューションを紹介する。
※ 以下、企業名を指す場合はMKSと表記。
中澤氏によると、MKSが定義するALMとは「要件定義からリリース、リリース後の運用までを含めた開発ライフサイクル全般を包括的に管理して、アプリケーションの品質や開発生産性を上げ、ビジネスに付加価値をもたらすこと」だという。その実現のために同社が提供するMKS Integrityは、以下の6つの機能セットで構成される。
| 機能セット名 | 機能概要 |
|---|---|
| MKS Integrity | MKS Integrity Repositoryで一元管理された情報に基づき、経営層や管理者に対するリポート、ダッシュボードをリアルタイムに出力する |
| MKS Integrity Requirements | 要件のベースライン化とバージョン管理、変更履歴の管理機能を持つ。要件の変更に対して、設計、ソースコード、テスト、リリースまでの影響範囲を追跡することができる |
| MKS Integrity Source | オープン系システムやIBM System i(IBM i/AS400)などのプラットフォーム、Microsoft .NET Frameworkなどの開発環境、EclipseなどのIDE(統合開発環境)とも連携する、ソースコードの変更・構成管理ツール |
| MKS Integrity Test | テスト項目やテスト結果、その承認状況を事前定義されたプロセスに従って管理する |
| MKS Integrity Deploy | 配布・配置対象、リクエスト、ロールバック、ステージングに関するステータスをリアルタイムで把握できる |
| MKS Integrity Repository | プロセス、ワークフローの定義や作業進ちょく/承認の状況、作業時間、各種数値指標(メトリクス)、ソースコードやドキュメントといった成果物と、それらすべてのバージョン、変更・承認履歴などの情報を一元的に保管・蓄積する |
2010年1月現在、MKS Integrityの最新バージョンは2009年にリリースされた「MKS Integrity 2009 日本語版」だ。最新版では特にテスト管理機能が強化された。
単一アーキテクチャの利点とは?
中澤氏は「MKS Integrityの特徴は、単一アーキテクチャによる抜群の追跡性にある」とし、「例えば、要件変更が発生した場合、その影響範囲の確定や設計書の修正、ソースコードの変更個所、実施すべきテストケースなどを追跡できる」と説明する。
また、中澤氏は「アプリケーション開発は複雑化している。ある1つの要件に対して、それに関連する設計書やソースコード、テストケースなどの成果物が複雑に絡み合い、より多面化している」と語る。そうした現状では、フェーズごとに個別の管理ツールを適用するとさまざまな弊害が発生する。そのため、単一のアーキテクチャによる包括的な管理の重要性が増しているという。
同社のソリューションでは、リポジトリによって一元管理できる情報の粒度は「ファイル単位ではなく、それこそ1行単位まで可能」(中澤氏)。また、要件定義書や設計書などの成果物(アイテム)間の要素をひも付けすることができる。これにより、あるアイテムの変更が別のアイテムに影響する場合、その対象となるアイテムに対してアラートを出力することなども可能だ。
また、変更・構成管理機能などの各工程に特化したオープンソースソフトウェア(OSS)のツールも存在するが、それだけでは「部分的な最適化にとどまり、あまり意味を成さない」とも指摘する。
“泥臭いアプリケーション開発の管理”をスマートに
多くの企業では、アプリケーション開発の各工程でいろいろなツールを活用している。要件定義書をMicrosoft Office Word、システム設計書をMicrosoft Office Excel(以下、Excel)で作成し、Eclipseでコーディングして、その構成管理をSubversion、テストケースをExcelで管理する、という具合だ。中澤氏は「そうした企業では、設計書をひっくり返して影響範囲を追跡したり、プロジェクトの状況を管理者自らがヒアリングして報告書を書いたりするといった、手作業による泥臭いアプリケーション開発によって“業務の非効率化”が起こることが多い」という。そのため、「MKS Integrityを活用してそうした管理業務の効率化を図ってもらいたい」と語る。
また、MKS Integrity自体のAPIが公開されており、ほかのツールとも柔軟に連携可能だ。例えば、ソースコード資産をCVS(バージョン管理システム)で管理している場合でも、MKS Integrityにデータ移行が可能だ。さらに、開発拠点が分散された開発を行う場合でも、外部からのアクセスが可能だ。そのほか、データへのアクセス権限を担当者別に設定するなど、組織形態に合わせた柔軟な構成を取ることができる。
MKS Integrityのライセンス体系
MKS Integrityのライセンスは以下の通り。クライアントライセンスには「ユーザー指定ライセンス」「共用ライセンス」の2種類がある。
| ライセンス名 | 機能概要 |
|---|---|
| MKS Integrity Server - Repository | プロセス定義、作業進ちょく、すべてのバージョンのドキュメントや成果物、プロジェクト履歴、監査履歴などの情報を保持・管理する |
| MKS Integrity Client for Managers | 以下の機能を利用できる。 ・プロセス定義、セットアップ ・ポートフォリオやプロジェクト状況などの各種ビュー ・WBS(作業分解図)のセットアップ・確認 ・ダッシュボード、監査、コンプライアンス用リポートの作成 ・承認プロセスの準備および電子署名 |
| MKS Integrity Client Full | MKS Integrity Client for Managersの機能に加えて、すべてのドキュメント承認、構成管理機能を利用できる。また、以下の機能を利用できる。 ・アプリケーション成果物の作成、閲覧、共有、変更、バージョン管理 ・稼働時間入力、WBSの更新 ・現場のアクティビティのサポート機能 ・プロジェクトおよびアプリケーションの成果物のベースライニング、マージ、差異確認や再利用 |
組み込み系開発での悩みを解決
MKS Integrityはグローバルで600社以上、日本国内では30社で導入されている。中澤氏は「業務系、組み込み系の両方で使えるが、組み込み系に注力したいと考えている」と語る。
組み込みソフトウェアの開発は製品端末(ハードウェア)の開発と同時並行して行われることが多く、製品投入までのサイクルタイム短縮化や品質管理などのPLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)が重要になる。そうした部分の支援を行うことが可能だと中澤氏は説明する。同社では今後、製造業を中心とした組み込みソフトウェア開発分野での事業拡大を目指すという。
今後は「Intelligent ALM」を目指す
中澤氏は「プラットフォームの提供だけでなく、ビジネス価値を高めるためのソリューションを展開する」と語る。同社は「Intelligent ALM」というコンセプトを掲げて「ソフトウェア開発の効率化、品質向上から派生して、企業のビジネスの付加価値の創出やその最大化をもたらす」ことに注力する。そのために、各業種に特化したプロセスやプロジェクトなどに合致するテンプレートを今後、プラットフォームと合わせて提供する予定だ。
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