アプリケーション開発の効率化は企業の競争優位性を左右するのか? 本連載ではALM製品の提供ベンダーを取材し、市場の現状や今後の動向などを探る。今回はセレナソフトウェアを取り上げる。
アプリケーションは開発されてから廃棄されるまでの間、幾度となく変更(バージョンアップ)を繰り返す。その要因は、ユーザーからの要求や法制度改正などによる仕様の変更、運用段階で発覚したバグの対応など、さまざまである。そうしたアプリケーション開発・運用の効率化を支援するソリューションが「ALM(Application Lifecycle Management)」だ。
ALMソリューションではさまざまな開発支援ツールを活用して、アプリケーション開発に関するすべてのプロセスや情報を連携させる。それらの情報を基にプロジェクトマネジャーや開発者、経営者といったステークホルダーは、そのライフサイクル全体をふかんすることが可能になる。
米国の調査会社Forrester Researchが2008年3月に発表した「Enterprise Application Life-Cycle Management(ALM) Adoption In 2008」によると、欧米諸国では2005年以降、ALMソリューションの導入率が前年比30%以上の比率で伸びており、大規模企業では約50%で既に採用されているという。また、業種別に見ると金融・保険業界での導入が最も多いが、サポートが足りないため多くの企業がその導入に苦労しているとも報告されている。
“ビジネスとITの融合”といわれる時代において、ALMソリューションの導入によるアプリケーション開発の効率化がもたらすメリットとは一体何だろうか?
本連載ではALMソリューションを提供するベンダー各社を取材し、同市場の現状と今後の動向を探るとともに、製品の特徴や導入メリットを紹介する。今回は、2009年6月に来日した米セレナソフトウェアのCEO兼社長であるジェレミー・バートン氏に話を聞いた。
セレナソフトウェアは1980年、米カリフォルニア州に設立されたソフトウェアベンダーだ。変更管理を中心にプロジェクトポートフォリオ管理(PPM)や業務プロセス管理といった、アプリケーション開発ツールに関連した事業を展開している。
調査会社Gartnerが2008年1月に発表した「Magic Quadrant for Software Change and Configuration Management」において、同社はソフトウェア変更管理におけるリーダー企業3社の1つに位置付けられている。
同社のALM関連製品には、分散開発環境向けSCCM(ソフトウェア変更要求・構成管理)ツール「Dimensions CM」、組み込み向けSCCMツール「PVCS Version Manager」、メインフレーム向けSCCMツール「Serena ChangeMan ZMF」、PPMツール「Application Development Management」などがある。
バートン氏は「われわれはALMのさまざまなコンポーネントを提供しているが、その中でも“拡張性の高いリポジトリ”を保有していることが一番の強みだ」と語る。
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