Webアプリケーション「管理できる化」のススメ【第2回】
業務活用が進むYouTube、企業ネットワークに掛かる負荷は?
日本法人のネットワークの使用状況から、YouTubeやニコニコ動画、Yahoo!動画などのコンテンツ利用が業務トラフィックに与える影響をランキング形式で読み取る。
本連載では、パロアルトネットワークスが国内60の法人のトラフィックを調査した集計結果を基に、ファイル共有や動画、ソーシャルメディアなどのWebアプリケーション利用が、企業ネットワーク内のトラフィックにどの程度の負荷を掛けているかをランキング形式で紹介していく。
第1回「トラフィック調査で分かったP2Pソフトの企業ネットワーク利用状況」では、「P2Pベースファイル共有」「ブラウザベースのファイル共有」の使用率、使用帯域を紹介した。今回は引き続き、同調査から明らかとなった動画コンテンツの利用状況を見ていく。
動画、写真の高い使用率と帯域消費量
動画配信と写真を扱うアプリケーションでは、87%という高い使用率でYouTubeとYahoo!動画が同率1位だった。Yahoo!動画はGyaoと統合し、クオリティの高い商用コンテンツを豊富に保有している。3位のHttp-Videoは、QuickTime、Windows Media Player、Winamp、RealMediaなどのストリーミングビデオで、使用率は85%だ。4位に、80%の使用率でFlickrが登場する。Flickrは、米Yahoo!が運営する写真共有サイトで、日本語化はされていない。78%で5位のGoogleビデオは、Googleのビデオ検索である。
使用帯域は、使用率1位のYouTubeが同じく1位で70Gバイトである。ファイル共有サイト1位である4sharedの実に7倍である。2位は、使用率ではトップ5に入らなかったニコニコ動画である。ニコニコ動画は、アクセス集中時には無料会員は自動的に画質と音質を落としたモードに切り替わるため、アクセスの少ないビジネスタイムに勤務先から視聴されているのかもしれない。
3位はRTP(Real-time Transport Protocol)というVoIPでも使われる汎用プロトコルだ。4位は、使用率は低いものの16Gバイトもの帯域を使用したMove Networks。マイクロソフトやシスコシステムズも出資しているHD動画配信サービスである。5位は使用率1位のYahoo!動画である。
ではこのカテゴリのビジネス上の利点を見ていきたい。YouTubeは使用帯域が大きいが、これにはビジネス利用もかなり含まれる。製品デモ、セミナー、プレゼンテーション、企業メッセージなどのビデオコンテンツのインフラとして、YouTubeは広く利用されているからだ。当社のWebサイトでも、製品デモのインフラとしてYouTubeを利用しているし、大企業のWebサイトやメディアでも一般的に使用されている。文字だけでなく、映像の方が伝わりやすいケースでは、ビジネスにおいても非常に有用なアプリケーションである。
アウトバウンドリスクとしては、不適切なメッセージを配信してしまった場合の信用低下、機密情報を配信してしまうことによる情報漏えいである。2010年に起きた尖閣諸島問題で、YouTubeが効果的な情報リークのツールとして使用されたことも記憶に新しい。
インバウンドリスクとしては、ビジネスコンテンツ以外の視聴による生産性の低下である。ニコニコ動画とYahoo!動画に関しては、ビジネスコンテンツは少なく、ほとんどの場合、仕事中の息抜きとして使われていると思われる。一般企業の場合は、経営者が許せばある意味問題はないかもしれない。しかし税金で運営されている組織の場合、業務に無関係な動画の過度な視聴は大問題になる可能性がある。
動画は帯域消費が大きいため、帯域圧迫も無視できない。業務トラフィックに影響が出たり、ネットワーク機器のグレードを上げたりしてコスト負担増の原因となり得る。
帯域を消費する主なアプリケーション
YouTubeと同じ70Gバイトを使用していたのが、Microsoft Updateだ。Microsoft製品のアップデートはセキュリティ上とても大事だが、使用帯域がここまで大きいことをIT部門は把握しているだろうか? また、Microsoft Updateは同じタイミングで組織内の端末に大量に配信されるため、ネットワークの負担は大きい。これを解消するには、マイクロソフトから無償で提供されているWSUS(Windows Server Update Service)の導入が有効だ。これにより、組織ネットワーク内のサーバからの配信が可能になる。瞬間的に帯域使用率が上がるのを防ぐためには、次世代ファイアウォールで帯域を制限するという方法もある。
このチャートには電子メールなどの汎用アプリケーションは載せていないが、YouTube、Microsoft Update、Flashはそれぞれ何とPOP3とSMTPを足した帯域よりも大きい。帯域が問題になっている法人ネットワークでは、まずこの3つのアプリケーションのコントロールを考えてみるとよいだろう。
Googleデスクトップは、WebサイトをGoogleで検索するようにPCにあるコンテンツを検索するアプリケーションである。電子メール、Word文書、PDF文書などを瞬時に検索し、目的のファイルを探し出す。このアプリケーションの帯域使用量は大きく、33Gバイトだった。P2Pベースのファイル共有で使用されていた帯域の6倍以上である。
Googleデスクトップは、設定によってはPC上のファイルをGoogleのサーバにコピーする。もちろん暗号化され、個人情報として扱われるが、これは潜在的なリスクであると考えるべきだろう。Googleの検索技術を法人ネットワーク内でも使用したい場合は、Googleデスクトップの企業版の導入を勧めたい。IT部門でリスクを管理できるようになる。ユーザーからのボトムアップによるGoogleデスクトップの利用を禁止したい場合は、次世代ファイアウォールで止めることができる。
次回はTwitterやFacebookといった、ソーシャルメディアの利用状況を見ていく。
※本調査は、2010年4月から10月の半年間にわたり60の国内法人のトラフィックを調査したものである。ワールドワイドでは日本の60法人を含む723法人を調査した。前回の調査(2009年11月から2010年3月実施)での調査対象は347法人であり、今回は倍以上のサンプルが採れた。検知されたアプリケーションは931、調査容量は1.3ペタバイトに及ぶ。
菅原継顕(すがわら つぐのり)
パロアルトネットワークス マーケティング部長
セキュリティ業界に10年以上従事。2005年から2010年は、UTM製品を提供する外資系ベンダーでマーケティングを担当。現在はアプリケーションの可視化とコントロール機能を備えた次世代ファイアウォール「PAシリーズ」を提供するパロアルトネットワークスに従事している。
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