新たなストレージ環境として注目されている“クラウドストレージ”。提供側であるベンダー各社はどう考えているのだろうか。ストレージ業界団体であるJDSF会員を対象にした座談会での議論を紹介する。
「ベンダー各社が考える、ストレージ統合への障壁とは?」「ストレージ仮想化の導入メリットって何ですか?」に続き、ストレージ業界団体「JDSF(Japan Data Storage Forum)」会員を対象とした座談会の模様をお届けする。今回は、クラウドストレージに関する内容を紹介する。
三木:世の中、何がクラウドか定義が曖昧なまま、クラウドという言葉がもてはやされています。ストレージにもクラウドをうたうサービスが登場しています。クラウドストレージで求められていることは、ストレージ業界が昔から言ってきたこと。それがさまざまな技術の進化で実現できるようになりました。自社の製品やサービスのクラウド対応をお伺いします。もちろん「クラウドへの対応は不要だ」という回答でも結構です。
堀本:1980年代の米国の大学機関で、クラウドストレージの先駆けと言える分散ファイルシステム「Andrew File System(AFS)」が誕生しました。今日、クラウドストレージの実用化の時期になったのでしょう。
日立製作所では「コンテンツクラウド」というコンセプトで、各拠点のファイルストレージとセンターのファイルストレージをシームレスに連携する仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform」を提供しています。各拠点からセンターに自動的にファイルが移行され、ユーザーはそうした分散環境を意識することなく必要なデータにアクセス可能です。
星野:シマンテックも同様の機能をソフトウェアで実現する「NetBackup Cloud Storage」サービスを提供しています。
佐原:日本ではパブリッククラウドにデータを預けることに少なからず抵抗があります。そのため、自社のデータセンターにストレージを設置する傾向が強いですが、徐々にセキュリティを担保しながら、オンプレミスでアーカイブストレージを持たずにクラウドサービスを利用してデータの一部を移行するユーザーも増えてきているようです。価格を重視するパブリッククラウドサービス環境に関する一番の焦点は「クラウドの構築・運用コスト」。分散ファイルシステムやHadoopを採用するなど、いかにコストを下げるかが課題でしょう。
三木:クラウドやデータセンターサービスを提供する事業者が今後導入するストレージを考えたとき、「技術に長けた企業はHDDを並列させて自社でストレージを組み上げて運用していくが、一方でストレージ構築・運用の負荷を回避したい事業者が増える」という二極化が進んでいきそうですね。
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