ストレージ仮想化の現状について、ベンダー各社はどう考えているのだろうか。ストレージ関連企業で構成される業界団体であるJDSF会員を対象にした座談会での議論を紹介する。
前回の「ベンダー各社が考える、ストレージ統合への障壁とは?」に続き、ストレージ業界団体「JDSF(Japan Data Storage Forum)」会員を対象とした座談会の模様をお届する。今回は、ストレージ仮想化に関する内容を中心に紹介する。
三木:多くの企業でバックアップシステムを統合し、その効率化を進めているという話を聞きます。その一方、「統合したバックアップシステムをどう運用すればいいのか」という、新しい課題も出てきました。
星野:以前に比べてバックアップの処理性能は向上し、便利な機能も追加されました。例えば管理画面で、マウントしているフォルダを右クリックしてスナップショットを作成できる便利なツールが登場しました。また、目的のファイルだけを容易に取り出せるツールも存在します。しかし、それらの機能追加に伴って、新たな課題が出てきました。このような便利なツールを使うために、スナップショットの世代を多数確保するためのディスクを増設する必要になりました。
三木:その場合、どう対応すればよいでしょうか。
諏訪:例えば、NAS(Network Attached Storage)やSAN(Storage Area Network)などが混在する環境ではバックアップの粒度が細かくなるとその運用が複雑になり、システムの統合が難しくなります。そうした環境における解の1つとして「サーバレイヤーでの仮想化」が考えられるでしょう。
三木:その前提となる「D2D(Disk to Disk)」のバックアップは、十分普及しているのでしょうか。
一同:(うなずく)
中野:ストレージが持つ複製機能の活用が進み、ミラーリングからディスクを切り離してそのデータからバックアップを取る手法は一般的になりました。また、ディスクからさらにテープに取る「D2D2T(Disk to Disk to Tape)」も定着してきましたが、最終的にテープに取るかどうかについてはユーザー側もかなり慎重に見極めているように思います。
諏訪:ユーザー側でD2Dまたはテープバックアップのどちらを採用するかをデータによって切り分けしている企業も多いでしょう。
星野:例えば、ある金融機関では「法定期間にわたって保持する必要があるデータはD2D2T方式で、情報系データはD2D方式でバックアップする」という切り分けを行っています。また、データの重要度とそのSLA(サービスレベル保証)に応じたバックアップ方式を選択するようになっています。法に従って長期間保存しなければならないデータが存在する限り、テープ装置は今後もなくならないと思います。
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