2011年3月の東日本大震災では、全国から災害医療専門チームが派遣され、被災地の医療活動に従事した。災害・救急医療の現場でITはどう活用されているのだろうか?
2011年3月の東日本大震災では、全国各地の災害医療専門チーム「DMAT(Disaster Medical Assistant Team)」が派遣され、被災地の医療活動に従事した。今回は被災範囲が広域にわたり、重篤な患者を遠隔地の病院まで搬送するなど「救急医療用ヘリコプター」(以下、ドクターヘリ)が特に活躍した。しかし現場では、地上の携帯電話通信局が機能せずドクターヘリと地上の救助隊との通信が困難になり、多くのドクターヘリが不安定な通信環境で活動していたという。
そうした状況の中、衛星通信可能なイリジウム携帯電話を搭載して正確な情報通信を行ったドクターヘリが1機ある。岩手県で救助活動をした岐阜大学医学部附属病院 高次救命治療センターのドクターヘリだ。
岐阜大学 高次救命治療センターは、ITを利用した世界トップクラスの災害・救急医療体制の開発を行っている。本稿では同センターにおける医療分野でのIT化について、高次救命治療センター長である小倉真治氏(岐阜大学大学病院 救急・災害医学分野 教授)に聞いた。
小倉氏は「災害・救急医療は時間との戦い。患者の状態が重症であり緊急度が高いにもかかわらず、現場で得られる情報は限られている。治療に必要な情報が得られない場合、適切ではない応急処置や病院に搬送されるという現実がある。それを改善することが私の理念だ」と語る。
その上で小倉氏は、理想的な災害・救急医療体制として「患者がその病態に見合った適切な医師に運ばれ、最適な治療を受けられる体制」を挙げている。また、その実現のためには、以下の3つの条件が必要だとしている。
理想的な災害・救急医療体制の実現に向けて、岐阜大学とNPO法人 岐阜救急災害医療研究開発機構では2009年から産学官が連携する救急医療体制支援システム構築プロジェクト「GEMITS」(Gifu Emergency Medical supporting Intelligent Transport System)でIT化に取り組んできた(関連記事:災害救急医療体制を最適化する取り組み)。
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