日本HPが2012年12月に発表したミッドレンジ向けストレージ「HP 3PAR StoreServ 7000」は、同社が掲げるストレージ新戦略に基づいて仮想化やクラウド環境向けに設計されている。
企業のストレージ環境の課題の1つに「システムや部門ごとに個別最適化したストレージを導入している」点が挙げられる。システムがサイロ化してリソースが共有できなくなり、ストレージ環境の運用管理コストが増大している。また、サーバ仮想化が進みサーバの統合や移行が容易になったにも関わらず、ストレージ環境は旧態依然のレガシーアーキテクチャを踏襲していることが多い。そのため、ストレージ環境の複雑さが増し、再構築や移行などに時間がかかることもある。
日本ヒューレット・パッカード エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 HPストレージ事業本部 製品マーケティング本部 加藤茂樹氏は「そうした従来の課題に加えて、最近はモバイル端末やソーシャルネットワーキング、ビッグデータといった企業の新たなビジネスモデルに対応する必要がある。ストレージにも新しいアプローチが求められている」と語る。
米Hewlett-Packardは2012年12月に独フランクフルトで開催したイベント「HP Discover 2012」において、ストレージ新戦略「HP Converged Storage」を発表。それに伴い、日本HPは2012年12月、ミッドレンジ向けストレージ「HP 3PAR StoreServ 7000」シリーズ(以下、3PAR StoreServ 7000)の販売を開始した。加藤氏によると「従来のストレージ環境の課題を解決し、今後必要とされる機能を提供するプラットフォームとして設計されている」という。
3PAR StoreServ 7000は、同社が掲げる新ストレージ戦略のコンセプト「Polymorphic Simplicity」(多様なものを1つにまとめる)に基づいて設計されている。このコンセプトはエントリーからハイエンドまで単一のアーキテクチャを適用し、単一プラットフォームでストレージ環境を簡素化するというものだ。同社は、この戦略によって「プライマリーや情報分析、データ保護などのストレージ製品群を、エントリーからハイエンドまで全ての領域でアーキテクチャを統一する」ことを目指している。また、既存の「HP 3PAR」製品群の名称を「HP 3PAR StoreServ」に変更し、HP 3PAR StoreServ製品群を「仮想化およびクラウド向けに特化したプライマリーストレージ」と位置付けている。
3PAR StoreServ 7000は、ハイエンドストレージ「HP 3PAR StoreServ 10000」シリーズとアーキテクチャを同一にしており、OSやソフトウェア、基本機能などを共通化している。2ノード(デュアルコントローラー)構成の「HP 3PAR StoreServ 7200」と、2または4ノード構成の「HP 3PAR StoreServ 7400」の2機種がある。StoreServ 7200の最大搭載ドライブ数は144基で、最大容量は250Tバイト(StoreServ 7400は480基、864Tバイト)だ。
3PAR StoreServ 7000のキーテクノロジーの1つが、第4世代の専用ASIC「HP 3PAR Gen4 ASIC」(以下、3PAR Gen4 ASIC)だ。3PAR Gen4 ASICでは、RAIDリビルド処理の高速化やワークロードの分散、処理負荷の軽減などを実現する。加藤氏は「他社のストレージは多くの機能をソフトウェアで処理している。そのため、オーバーヘッドが発生してストレージの機能をフルに発揮できないこともある」と説明。その上で「3PAR StoreServ 7000では、ASICで処理を行うことで性能劣化を起こさずに各機能を利用できる」と強調する。
また、3PAR StoreServ 7000ではシンプロビジョニングやデータ自動階層化機能などで以下のメリットを提供するという。
ここからは、3PAR StoreServ 7000が提供する特徴的な機能を紹介していく。
3PAR StoreServ 7000では、初期導入時の適切な容量割り当てを支援する「Start Thin」、データ移行と同時に不要な領域をストレージプールに返却する「Get Thin」、継続的に未使用領域をプールに返却する「Stay Thin」の3つの技術を搭載。これらによって、ライフサイクル全体の利用率を高めることができる。
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