コラボツール導入でビジネスは伸展
メール不達にCEOが激怒、“メール廃止”企業 決断の裏側は
フランスのある大手旅客会社では、メールの業務利用で支障が生じるようになったため、コラボレーションソフトウェアを導入し、最終的にメールを廃止した。
1世紀を超える歴史のある大手旅客会社の仏Keolis Commuter Services(Keolis)はメールに限界を感じ、企業内コラボレーションの在り方の見直しを行った。同社はパリに本社を置く国際的な旅行会社だ。全世界に5万5000人以上の従業員を抱え、創業から100年以上になる。同社のビジネスを支えているのは、提案依頼書(RFP)と異なるタイムゾーンで働いている個人や部門間のコラボレーションである。
メールが業務の支障になっていた
2015年5月中旬に行われた「Gartner Digital Workplace Summit」のセッションに、Keolisの子会社米Keolis Transit Americaで最高技術責任者(CTO)を務めるダーク・シュナイダーマイヤー氏が登壇した。同氏は、従業員の変化も一因となってKeolisがSaaS(Software as a Service)や一般消費者向けのテクノロジーを導入したことを語った。
「このようなデジタル世界のテクノロジーの導入には消費者の影響があった」とシュナイダーマイヤー氏は語る。
このままメールを使い続けていると業務に支障が出ると分かり、Keolisは新しいコラボレーションツールが必要だと判断した。この判断を決定的にしたのは、同社の最高経営責任者(CEO)が送信した1通のメールだ。そのメールには重要なRFP関連のファイルが添付されていた。だが、サイズが大きすぎたため配信不能でメールが戻ってきたのだった。
「メールだけでは不都合なことはたくさんある。メールは対話的ではなく、バージョン管理もできない。これはコラボレーションにおける問題の一例だ」とシュナイダーマイヤー氏は話す。
コラボレーションツールの力で大口契約を獲得
Keolisは、顧客である行政機関が求める高いセキュリティと従業員が求める使いやすさを兼ね備えたコラボレーションプラットフォームを探した。また、シュナイダーマイヤー氏によれば、ブラウザとOSのどちらにも依存しないプラットフォームであることも重要だったという。同社が導入を決めたのは、英Huddleの製品だった。
同社のSaaSコラボレーションプラットフォーム「Huddle」は、2014年にKeolisが契約を獲得するのに貢献した。この契約は英国のインフラサポート企業Amey Plcと共同で英Docklands Light Railwayシステムを運営するという内容で、その規模は7億英ポンド(1400億円)以上にも上る。さまざまな部門や地域で働くKeolisのビジネス専門家に加え、外部のパートナーがHuddleを通じて協力し、契約を勝ち取った。ユーザーにはインタフェースが非常に好評だったという。
シュナイダーマイヤー氏は「当社はこの契約を遂行するための中心リポジトリとしてHuddleを使用している」と述べている。さらに、契約に関わる行政機関もHuddleのコラボレーションに参加している。
シュナイダーマイヤー氏によると、KeolisがHuddleを導入する際、既存の米Microsoftの「Microsoft SharePoint」環境への統合に課題があったという。だが、その移行を補助するAPIがHuddleから提供されたとのことだ。
SaaSはIT部門の評価を上げる
SaaS製品の使用を通じて、KeolisのIT部門と事業部門はより緊密に連携するようになった。IT部門は「門番」と見なされることが減り、「支援者」と考えられることが多くなっている。
「当社にとってSaaSは即戦力になるツールで、IT部門の負担軽減につながっている」とシュナイダーマイヤー氏は語る。
オンプレミスのインフラやメールのような長年使ってきたビジネスツールからSaaSや一般消費者向けのコラボレーションツールに移行するとなると、IT部門による管理が及ばなくなると懸念するかもしれない。だが、シュナイダーマイヤー氏はIT担当者に対してそうした考えを捨てるようアドバイスする。
「CTOである私がクラウドベースの製品の発達を恐れていたとしたら、それは図書館員がインターネットを恐れているようなものだ。これはどうしようもない」とシュナイダーマイヤー氏は語る。
Huddleと同じようなエンタープライズツールには、米Boxの「Box」、米Dropboxの「Dropbox」、米Amazon Web Servicesの「Amazon Zocalo」、米Googleの「Google Drive」、米Microsoftの「OneDrive for Business」などがある。
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