政府の関与を望まない意見も
ビッグデータ分析の“嫌な感じ”、不当利用に規制は必要か(1/2 ページ)
ビッグデータ分析に対して、より厳しいデータプライバシー規制を望む人もいれば、政府の関与を望まない人もいる。
マサチューセッツ州司法長官のモーラ・ヒーリー氏は、米国政府や連邦当局には、技術革新を阻害しない範囲で、データ保護規制を定める役割があると指摘する。
「政府はイノベーションや成長を奨励しながらも、国民を守る必要がある。ビッグデータと分析の危険性に注意しなければならない」とヒーリー氏は話す。
データプライバシー規制の“西部劇”
データ保護規制についてのヒーリー氏のコメントは、同氏の事務所が取りまとめて、MIT(マサチューセッツ工科大学)が主催したフォーラムで発言されたものだ。「私たちは、ビッグデータが不当な目的に利用されることを懸念していた。例えば、短期ローンなどの高リスクな商品を利用している社会的に弱くて恵まれない人を特定したり、住んでいる場所やブラウジングの傾向に応じて、特定の人に対して高めの商品価格を設定したりすることなどだ」(ヒーリー氏)
同氏によれば、本質的にビッグデータは一般消費者から企業へと力を移すという。これは必ずしも悪いことではない。だが、企業が差別的な不正活動に関与し始めるなら、ビッグデータは政府が介入すべき領域になるとヒーリー氏は考えている。
「ビッグデータはめまぐるしく変わる未開の分野で厄介な問題を引き起こす。その不安を緩和するのが政府の仕事だ」とヒーリー氏は語る。
現在、米国ではデータプライバシーの問題はほとんど規制されていない。医療や金融などの特定の分野は、顧客データの扱い方に関する規制を受けている。ただし、それ以外の分野に規制はほとんど存在しない。少なくとも国家レベルでは、この状況は当分変わらないだろう。バラク・オバマ大統領は、2012年と2015年の2度にわたって、「消費者プライバシー権利章典」として知られる法案をアメリカ連邦議会に提出したが、それが発効されることはなかった。データ保護規制に対する国家レベルの取り組みが欠落している状況では、国家当局よりも細分化されていない州当局の方がデータ保護規制に対する取り組みを行うのに適している。
アメリカ合衆国科学技術政策局で、職業と競争力に関するシニアアドバイザーを務めていたクエンティン・パルフレイ氏は次のように指摘する。「連邦法による主導は必要だが、連邦議会はその責任を果たしていない。急速に進化し、規制の難しい環境への対処に最適なツールである連邦法は、まだ利用できない」
同氏によれば、ビッグデータのプライバシーと消費者保護問題に対処するための次善策は、州議会を通過した規制と州検事総長による働き掛けだという。
ただし、フォーラムの参加者全員が、その分野でさらなる規制が必要だと考えていたわけではない。「企業による消費者データの扱い方の規制に対して州は関与すべきでない」と技術業界の支援団体であるTechNetで国策と政策部門のバイスプレジデントと相談役を務めるジョン・ドハティ氏はいう。同氏の見解では、州が関与すると州ごとに異なる規則の寄せ集めが出来上がる。その結果、全国規模でビジネスを展開することが難しくなると考えられている。既に、世界規模でビジネスを展開している企業は、国ごとに異なるデータプライバシー規制の順守に四苦八苦している。州レベルの規制が増えれば、この問題は悪化の一途をたどるというのがドハティ氏の見方だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIに何を聞いても「汎用的な答え」しか返ってこないのはなぜか? -
製品資料
[サイボウズ株式会社] なぜAIは組織で定着しないのか? 全社活用を阻む「3つの壁」の突破法 -
製品資料
[株式会社スタディスト] 「不適合品率」改善はどこから始める? すぐにできて効果が大きいポイントとは -
製品資料
[株式会社スタディスト] 食品ロスを利益に変える「現場標準化」のすすめ -
技術文書・技術解説
[株式会社スタディスト] チョコ停・ドカ停を防ぐ「事前対策」の進め方
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
2
SAPの負荷増に苦しむZeissが「リアルタイム分析」「安定運用」を両立させた道
-
3
なぜ「Claude Code」拡張は消しても危ないのか? Cursorで不正版配信
-
4
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
5
【基本情報技術者試験】データ消失リスクを防ぐ3つの「バックアップ手法」を比較
-
6
なぜMicrosoftは「Rust」を標準言語に? AIで進むC/C++書き換えの課題
-
7
8割がアナログに逆戻りする“やっぱりな理由” DXを阻む2つの落とし穴
-
8
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
9
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
10
“クラウド安全神話”の崩壊 AWS、Azure障害で情シスが直面した「SLAの死角」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
2
顧客対応自動化の要点:RAGとデータ連携で“業務で使える生成AI”にする方法
-
3
侵入から横展開まで27秒の脅威にどう立ち向かう? 防御のカギがEDRの理由
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
マンガで解説:情シスの負担を減らす「MDRサービスのインシデント対応」の中身
-
6
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
7
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
8
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
-
9
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
10
パスワードレスへの移行で失敗しないためには? 導入・運用上の注意点を解説
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー