クラウドベースのUCサービスを巡る戦い
価格の「Office 365」 vs. 電話連携の「Cisco Spark」、一長一短ある両雄をどう選ぶ?
Cisco SystemsとMicrosoftのクラウドコミュニケーションサービス、それぞれの長所と短所とは何か。料金面ではMicrosoftの勝ちだが、既に複雑な電話システムを導入している企業はCiscoにメリットを見いだすだろう。
Microsoftのクラウド版グループウェア「Office 365」で、ユニファイドコミュニケーション(UC)機能を利用すれば、Cisco Systemsがクラウドベースで提供するUCアプリケーションよりも、コストははるかに少なく済む。ただし、この主要2社のUCサービスを詳しく比較すると、料金以外にも重要な違いがあることが分かる。
UC市場の大半を占める2社
2016年5月に開催されたIT展示会「Interop」のあるセッションにおいて、調査会社KelCorのアナリスト、ブレント・ケリー氏は、CiscoとMicrosoftのクラウドコミュニケーションサービスの料金と機能について詳説した。調査会社Nemertes Researchによれば、ユーザー数が2500人以上の企業を対象とするUC市場では、現在CiscoとMicrosoftがシェアの大半を占めている。
安価なのはMicrosoftのサービスの方だ。だがそもそも両社のサービスは、アーキテクチャが大きく異なる。Microsoftのアプローチは、オフィススイートとUCアプリケーションを統合するというもの。一方、Ciscoは自社のデータネットワーキング製品とソフトウェアを土台にUCプラットフォームを構築するというアプローチを取っている。
ケリー氏は、両社のクラウドコミュニケーションプラットフォームについて、「マインドセットが全く異なる」と語る。
CiscoとMicrosoftの競争は激烈だ。Nemertesの調査に参加した大企業に「使用しているUCベンダーの数」を尋ねたところ、「1社」あるいは「2016年中に1社に絞る」と答えた回答者が半数近くを占めた。そのうち53%の企業がMicrosoftのサービスを支持し、35%がCiscoを支持している。
企業がどちらのプラットフォームを選ぶべきかは、それぞれのニーズ次第だ。ケリー氏によれば、CiscoのUCツールとコラボレーションサービス「Cisco Spark」を使いたいと考える企業の多くは、Ciscoのビデオ会議システムと、Googleのオフィススイート「Google Apps」を使い、大規模で複雑な電話システムを導入しているような企業だという。
一方、Office 365を選ぶ企業は大抵、ビデオ会議にPolycomの製品を使用しており、さらに「オフィスワーカーが多い」という共通点もあるという。そのような企業が目下、レガシーな電話システムをMicrosoftのソリューションに置き換えつつある。Office 365には、「Skype for Business」をはじめとする各種のUCツールが含まれる。
Microsoftのテレフォニーサービスはまだ進化の途中
Interopのセッションに参加したある匿名希望のITアーキテクトによれば、彼の雇い主のある大手製造会社では、数千人もの従業員がOffice 365を利用しているという。だが、それだけOffice 365に投資しているにもかかわらず、Ciscoのオンプレミスの電話システムから成熟度の低いMicrosoftのSkype for Businessに乗り換えるつもりはまだないという。
「テレフォニーインフラに長年Ciscoを使っている数十億ドル規模の企業だ。良い投資だし、良いパートナーシップを築けている」と前述のITアーキテクトは語る。
とはいえ、Office 365の価格の低さとテレフォニー機能に関心を寄せる企業は少なくない。法人向けOffice 365の最上位プラン「Office 365 Enterprise E5」には、Officeアプリの他に、PSTN(公衆電話網)通話機能が含まれる。この音声通話プランには追加料金が掛かり、1ユーザー当たりの追加料金は、国内通話のみなら月額12ドル、国際通話も利用する場合でも月額24ドル、E5の月額料金(35ドル)と合わせても1ユーザー当たり月額47ドルからPSTN通話を利用できるということだ。
CiscoのUC製品とOffice 365を組み合わせた場合の月額料金は77ドル。オフィススイートをGoogle Appsにすれば、月額料金は71ドルに下がる。
ケリー氏によれば、CiscoはオンプレミスのUC製品については最大60%の割引を提供することで知られる。だがクラウドコミュニケーション製品に関しては、そこまでの割引は期待できないという。
Microsoftは、小規模企業がPSTN通話を利用できるよう、E5よりも安価なプランにも音声通話プランを追加できるようにしている。「小規模企業にとっては、実に素晴らしいプランだ」とケリー氏は語る。音声通話プランでは通常、各ユーザーが通話できる分数の上限は月間3000分に設定されている。
Nemertes Researchのアナリスト、アーウィン・レーザー氏によれば、中小規模企業向けUC市場には、MicrosoftとCiscoだけでなく、多くのライバル企業がひしめいていると話す。競合他社には、Mitel NetworksやNEC、ShoreTelといった大手の他、RingCentralや8x8、Vonageといったクラウドベースの専業のテレフォニー事業者などが含まれる。
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