Microsoftの新しい月例アップデートプログラムにより、Windowsのアップデートの煩雑さが緩和される。一方で、IT部門によっては大きな問題が発生する可能性もある。
Windowsの更新方法としてMicrosoftが新たに導入するアップデートプログラム「ロールアップ」は、IT部門にとって煩雑さを軽減するものとなる。だが、IT部門が望まないアップデートの適用を拒めないために、問題が起きる恐れもある。
Microsoftは2016年10月から、「Windows 7」および「Windows 8.1」向けのパッチと機能アップデートを1つのアップデートプログラムにまとめて毎月リリースする計画だ。IT部門がOSを最新の状態に維持する作業を楽にするのが目的。同社は現在、月例アップデート「Patch Tuesday」を通じてパッチとアップデートを配布しているが、同じ月に追加アップデートも実施している。Microsoftでは、今後も必要に応じて追加アップデートをリリースするとしているが、その回数は減少する見込みだ。
MicrosoftのパートナーであるSIGMAnetの副社長 スティーブン・モンテロス氏よると、新しい更新モデルは歓迎すべき変更だという。現行のプロセスがあまりにも複雑だからだ。
「アップデートの管理はフルタイムの仕事になる可能性もある」とモンテロス氏は話す。「Microsoftはこんなやり方を続けるわけにはいかない。新しい更新モデルは、更新がいつあるのか分かるので、管理が楽になる」(モンテロス氏)
だが新しい更新モデルは、IT部門の業務を混乱させる恐れもある。ロールアップの一部が企業の既存のWindowsとの相性が良くなかった場合、IT部門は月例アップデートのたびにこの問題に対処しなければならなくなる。従来と同様、アップデートプログラムを導入する前にテストすることは可能だが、特定の部分だけの導入を禁止することはできない。
「これを回避する方法はない。最初から大きな問題になりそうだ」とモンテロス氏は語る。
他にも変更点がある。現行の方式と異なり、ロールアップにはそれ以前の月の全てのアップデートプログラムが含まれる。「この方式により、Windowsを常に最新状態に保つのが容易になり、過去のアップデートプログラムの適用を見逃す心配がなくなる」と話すのは、市場調査会社Insights and Strategy社長のパトリック・ムアヘッド氏だ。
さらに10月には、セキュリティだけを対象とした月例アップデートも新たに始まる。これには、全ての新しいセキュリティパッチに加え、それまでの月の累積パッチが含まれる。これにより、セキュリティパッチを個別にダウンロードできなくなる。
Microsoftのパートナー企業Cumulus Globalの最高経営責任者(CEO)アレン・ファルコン氏は「ほとんどの企業にとって、このセキュリティパッチの月例アップデートで問題が起きることはなく、作業が簡素化されるだろう。Microsoftは、月例アップデートの複雑さを緩和しようとしている」と話す。
フロリダアトランティック大学の最高技術責任者(CTO)メーラン・バシラトマンド氏によると、同大学のIT部門では、月例アップデートをどう管理すればよいのか不安に感じているという。「月例アップデートで起きる問題に対して、当大学で使っているサードパーティー製のパッチ管理ソフトウェアで防止できることを期待している」と同氏は語る。
SIGMAnetのモンテロス氏は「Microsoftは問題を発見した後で緊急アップデートをリリースするタイミングについても一貫性を維持すべきだ」と話す。2016年8月に出たアップデートプログラムでは、Webカメラが使えなくなるというトラブルが発生した。Microsoftは、この問題を解決するパッチをリリースする予定だとしている。
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