NVMe対応で復活するファイバーチャネル、SDSはハードの「価格下落」が追い風にストレージテクノロジーの2017年話題のトレンド【後編】(2/3 ページ)

2017年01月23日 15時00分 公開
[Dave RaffoTechTarget]

Software Defined Storage(SDS)

 一般に、テクノロジー業界では定義が曖昧な用語が数多く使用されている。ストレージに関しては特にその傾向がある。近ごろに最もよく使われている最も曖昧なストレージ用語の1つが「ソフトウェア定義のストレージ」(Software Defined Storage:SDS)だ。

 米TechTargetでは、SDSを「ストレージ関連のタスクを制御するプログラムを、物理ストレージハードウェアから切り離すデータストレージのアプローチ」と定義している。だがこの定義は、あらゆる種類のテクノロジーをカバーできるほど柔軟に解釈できる。重要なのは、このテクノロジーが実際に共有する特徴にある。このテクノロジーは、ハードウェアではなく、ストレージサービスに主眼が置かれる。また、ストレージの管理ではポリシーベースで効率の向上と複雑さの緩和を実現する。

 ユーザーの解釈における混乱の1つは、仮想環境と関連してSDSが使用される場面が非常に多いことから生じている。だが、必ずしも仮想環境とSDSは結び付いていない。幸い、SDSとは正確には何を表すかについて、回り道をしながらも市場の意見は少しずつ統一されてきている。ソフトウェア定義のストレージと呼ぶには、その製品でユーザーがストレージリソースを割り当てることができ、複数のワークロード間でそのストレージリソースを共有できなければならない。

 Dragon Slayer Consultingのストレージアナリストであるマーク・ステイマー氏は、SDSに関する4つの基本カテゴリーを定めている。その基本カテゴリーとは、「ハイパーバイザーベース」「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)」「ストレージ仮想化」「スケールアウト型オブジェクト/ファイル」の4つだ。

 ハイパーバイザーベースのカテゴリーは、「VMware vSphere」「VMware vSAN」を提供するVMwareが事実上独占している。市場に流通している製品の中でも2番目に歴史のあるSDSカテゴリーとして、ハイパーバイザーベースSDSはストレージテクノロジーのトレンドで確固たる地位を確立している。ただ、利用できるハードウェアはVMwareによって互換性があると判断する製品に限られる。

 SDS市場の大半の製品はHCI SDSのカテゴリーに分類される。とはいえ、HCI SDS製品はCisco Systems、Dell EMC、IBMなどの大手ベンダーに加えて、NutanixやSimpliVityのようなスタートアップ企業からも提供されている。HCI SDSの長所は、ストレージインフラに必要な全ての要素が1つにまとめられ連係していることだ。逆に、HCIのリソースでしかSDSの強みを利用できないことが短所になっている。

 ストレージ仮想化SDSのカテゴリーは、全ての種類においてSDSの出発点といえる。DataCore、Dell EMC、IBM、そしてMicrosoftまでもがこのカテゴリーの製品を提供している。だが歴史が一番古いからといって、この分野に新しい企業が参入していないわけではない。例えばNetApp、Nexenta Systems、StarWind Softwareなどだ。

 SDS市場で最も新しいカテゴリーがスケールアウト型のオブジェクト/ファイルSDSだ。このカテゴリーでも、Scalityのような新興企業と大手企業が競合する。具体的には、「IBM Spectrum Storage」を提供するIBMや、オープンソースの「OpenStack」や「Ceph」ベースの製品を持つRed Hatなどが挙げられる。

 ハードウェアの値下がりが続いていることもSDSの大規模採用にとって追い風になっている。SDSを使えば、高いレベルのパフォーマンスを実現するのに特定のハードウェアに依存する必要性は少なくなる。パフォーマンスに重点を置いてSDSを採用する企業の場合は特にそうだ。加えて、オブジェクトストレージはクラウド限定のデータ保存プラットフォームという側面が小さくなってきているため、データセンターでのスケールアウト型オブジェクト/ファイルの採用が急速に広がっている。

 SDSのスタートアップ企業HedvigのCEO兼創設者のアビナッシュ・ラクシュマン氏は、スケールアウト型SDSが急成長を続ける理由を次のように説明している。

 「ハードウェアコストは下がる一方なので、スケールアウト型SDSのROIは実にシンプルだ。AmazonやGoogleなど、インターネットベースのあらゆる大手企業は明らかにその方向に進んでいる。彼らを見ている他の企業もずっと多くのことをずっと少ないコストで行っているのなら自分たちもできるのではないか、と問いかけずにはいられない」

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