データセンターの40GbE導入をけん引する、2つの動向40GbEの本格普及には何が必要か(後編)

企業での本格導入が進まない40ギガビットイーサネット(GbE)だが、特にネットワークの高速化が求められるデータセンターではその導入を後押しする動きがある。

2013年02月28日 08時00分 公開
[David Strom,TechTarget]

 40ギガビットイーサネット(GbE)規格に対応したハードウェアが登場しているものの、企業での導入は進んでいない。このネットワーキング規格が広く普及するには、何が必要なのか。前編「Disneyが失敗したネットワークの高速化、その原因とは?」では、普及への最大の障壁として「ポートへの配線」を挙げた。今回は、40GbEが真っ先に採用されると予想されるデータセンターでの普及状況を紹介する。

サーバ仮想化とSANがけん引役

 40GbEには幾つかの問題はあるものの、真っ先に40GbEが採用されると予想されるのが、仮想サーバが高密度に配置されたデータセンターだ。ブレードサーバを導入している通信サービスプロバイダーやクラウドベースのホスティングベンダーのデータセンターが該当する。これらの企業は、1台の物理マシンで数十台の仮想マシン(VM)を動作させる米Cisco Systemsの「Cisco Unified Computing System」(UCS)のような製品を使っている。

 「仮想化は、10GbEの普及の大きなけん引役となった。今後、40GbEでもそうなるだろう」と、米The 451 Groupのアナリスト、エリック・ハンセルマン氏は語る。「各サーバへの仮想マシンの集約率が高くなり始めたら、ネットワークのキャパシティーをそれに合わせて拡大する必要がある」

 実際、10GbE接続のサーバが急に増えることは、データセンターネットワークでは想定されていない可能性がある。「現在、次世代サーバには10GbE機能を搭載できるオプションが必ず用意されている」とハンセルマン氏。「そのためにサーバの価格構造が変わってきている。こうしたサーバが企業に多数導入されると、ネットワーク環境が対応できなくなる恐れがある。サーバ技術のアップグレードのペースにネットワークのコアインフラが追い付かないわけだ」

 10GbEや40GbEの普及を後押ししつつあるもう1つの動向として、InfiniBandやFCoE(Fibre Channel over Ethernet)により、SAN(Storage Area Network)が既にこれらの伝送速度を達成していることが挙げられる。多くのHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)環境でInfiniBandが採用されており、そのパフォーマンスを改善し、さらに高速化しようとする取り組みが行われている。

 また、米ProfitBricks.comのようなインターネットホスティングプロバイダーは、バックエンドにInfiniBandを全面的に採用し、超低遅延ネットワークを実現している。ストレージベンダーもInfiniBandによる低遅延接続を売り物にするようになっており、今後は40GbEとInfiniBandの競合も予想される。

 さらに、一部のデータセンターマネジャーが、40GbEを飛ばしていきなり100GbEに移行する可能性もある。

 「私は、社内SANのために40GbEを2014年にも導入する計画を進めてきた。しかし、もし今から投資するのであれば、100GbEに直接移行するだろう」と、医療記録管理を手掛ける米EvrichartのCIO、トニー・マロ氏は語った。

 以下の表は、Dell'Oro Groupの2012年8月発表の報告書「Ethernet Switch Five-Year Forecast Report」における40GbEポート数の推移見通しだ。

ポート数
2011年 7700
2012年 22万5000
2013年 56万9100
2016年 527万3200

トップオブラックスイッチからのアップリンク

 高速ネットワークに移行する1つの方法は、いわゆるトップオブラック(ToR)スイッチを使うことだ。ToRスイッチは、キャビネット内の下部にあるサーバだけを集約し、他のToRスイッチと短距離で接続される。

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