企業での本格導入が進まない40ギガビットイーサネット(GbE)だが、特にネットワークの高速化が求められるデータセンターではその導入を後押しする動きがある。
40ギガビットイーサネット(GbE)規格に対応したハードウェアが登場しているものの、企業での導入は進んでいない。このネットワーキング規格が広く普及するには、何が必要なのか。前編「Disneyが失敗したネットワークの高速化、その原因とは?」では、普及への最大の障壁として「ポートへの配線」を挙げた。今回は、40GbEが真っ先に採用されると予想されるデータセンターでの普及状況を紹介する。
40GbEには幾つかの問題はあるものの、真っ先に40GbEが採用されると予想されるのが、仮想サーバが高密度に配置されたデータセンターだ。ブレードサーバを導入している通信サービスプロバイダーやクラウドベースのホスティングベンダーのデータセンターが該当する。これらの企業は、1台の物理マシンで数十台の仮想マシン(VM)を動作させる米Cisco Systemsの「Cisco Unified Computing System」(UCS)のような製品を使っている。
「仮想化は、10GbEの普及の大きなけん引役となった。今後、40GbEでもそうなるだろう」と、米The 451 Groupのアナリスト、エリック・ハンセルマン氏は語る。「各サーバへの仮想マシンの集約率が高くなり始めたら、ネットワークのキャパシティーをそれに合わせて拡大する必要がある」
実際、10GbE接続のサーバが急に増えることは、データセンターネットワークでは想定されていない可能性がある。「現在、次世代サーバには10GbE機能を搭載できるオプションが必ず用意されている」とハンセルマン氏。「そのためにサーバの価格構造が変わってきている。こうしたサーバが企業に多数導入されると、ネットワーク環境が対応できなくなる恐れがある。サーバ技術のアップグレードのペースにネットワークのコアインフラが追い付かないわけだ」
10GbEや40GbEの普及を後押ししつつあるもう1つの動向として、InfiniBandやFCoE(Fibre Channel over Ethernet)により、SAN(Storage Area Network)が既にこれらの伝送速度を達成していることが挙げられる。多くのHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)環境でInfiniBandが採用されており、そのパフォーマンスを改善し、さらに高速化しようとする取り組みが行われている。
また、米ProfitBricks.comのようなインターネットホスティングプロバイダーは、バックエンドにInfiniBandを全面的に採用し、超低遅延ネットワークを実現している。ストレージベンダーもInfiniBandによる低遅延接続を売り物にするようになっており、今後は40GbEとInfiniBandの競合も予想される。
さらに、一部のデータセンターマネジャーが、40GbEを飛ばしていきなり100GbEに移行する可能性もある。
「私は、社内SANのために40GbEを2014年にも導入する計画を進めてきた。しかし、もし今から投資するのであれば、100GbEに直接移行するだろう」と、医療記録管理を手掛ける米EvrichartのCIO、トニー・マロ氏は語った。
以下の表は、Dell'Oro Groupの2012年8月発表の報告書「Ethernet Switch Five-Year Forecast Report」における40GbEポート数の推移見通しだ。
年 | ポート数 |
---|---|
2011年 | 7700 |
2012年 | 22万5000 |
2013年 | 56万9100 |
2016年 | 527万3200 |
高速ネットワークに移行する1つの方法は、いわゆるトップオブラック(ToR)スイッチを使うことだ。ToRスイッチは、キャビネット内の下部にあるサーバだけを集約し、他のToRスイッチと短距離で接続される。
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