NVMeやメモリバスベースのフラッシュDIMMといったプロトコルの採用は、フラッシュストレージデバイスが高いパフォーマンスを発揮するための一助になっている。
高性能ストレージはかなり以前から存在していた。1990年代にはそうしたシステムはDRAMベースで主にトランザクション指向データベースの高速化に使われた。だが経費がかさむことから帳尻を合わせるのが難しく、採用するのは大規模なパフォーマンスの向上を通じて組織の収益が拡大できる場合に限られていた。
だが時代は変わった。高性能フラッシュデータストレージシステムは、コストが下がるにつれて理にかなうようになり、エンタープライズに進出して、採用も拡大した。今では GB当たりのフラッシュの価格が新たな節目を突破し、結果として、再びユースケースが変わりつつある。
かつてはDRAMのようなフラッシュデータストレージシステムを導入するのは、そのパフォーマンスを活用できるアプリケーションに限られていた。だが今やフラッシュは、プライマリーデータストレージのための主力メディアになった。プライマリーストレージの利用が理にかなうアプリケーションやデータセットであれば、フラッシュの利用も理にかなう。
フラッシュの採用における次の段階として、この技術は3つの方向へと進展する。最も意外なのはアーカイブやバックアップといったセカンダリーストレージへの進出だ。3番目としてフラッシュは、DRAMの代替に使われるようになる。
5年前、セカンダリーストレージシステムへのフラッシュ利用は、コストを考えればあり得なかった。だが価格の継続的な下落と高密度化によって、その状況は変わりつつある。現在、ストレージシステムベンダーは、ペタバイト級のストレージを2Uから3Uのパッケージで提供できる。新しいデータセンターの構築と電源供給にかかるコストが大きな課題になりつつある中で、同じスペースで容量を増やすという考え方は、たとえ経費が多少かさんだとしても、魅力が高まりつつある。
同時に、セカンダリーストレージの市場でも、パフォーマンス上の優位性が失われることはない。データを全てフラッシュに保存できるビッグデータ分析プロジェクトでは、幅広いデータセットを横断しながら、より高速に結果を引き出すことができる。何年分ものデータを保存しながら、データへのリクエストに対してほぼ即座に反応できるアーカイブは、気の短いユーザーばかりの世界にあっては特に抗し難い。
予想外のアクセス要求に対して即座に反応できるこの機能は、メディアやエンターテインメントといった業界にとって不可欠だ。こうした業界ではかつて、例えばテレビ放送のように、相手が望もうと望むまいと、コンテンツを不特定多数の相手へと一度に配信していた。だが今やこの業界はほぼ完全にオンデマンドで運営され、例えばNetflixのように、特定のユーザーが特定のコンテンツをリクエストするのを待って配信している。
もう1つの意外なフラッシュデータストレージのユースケースが、バックアップとデータ保護だ。バックアップソフトウェア製品は、あらゆる種類のメタデータを追跡するデータベースに依存する。フラッシュの速度を利用すればデータの追加が高速化され、ユーザーの検索リクエストに即座に反応できる。だがデータ保護における大きなシフトは復旧にある。ほとんどのバックアップアプリケーションは、仮想マシンのデータストアをバックアップターゲット上で直接ホスティングできる。バックアップストレージは突如として単なるプライマリーストレージと化す。そのプライマリーストレージが圧縮され、重複排除された大容量のHDDでいっぱいになれば、そのデータストアのパフォーマンスが問題になる。このため一部のベンダーは、顧客がリカバリーインプレース機能の利用を望む場合、やむなくこうした機能を無効にしている。
フラッシュベースのバックアップストレージシステムは、アプリケーションのサービスをユーザーの期待にかなうパフォーマンスポイントへと復旧させる有効な手段になる。その障害が起きる前まで、そうしたユーザーはプライマリーストレージシステムのストレージ性能になじんでいた。そうしたユーザーは復旧状態にあるときでさえ、パフォーマンスの低下を不満に思うかもしれない。
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