前編「2017年は『NVMe over Fabrics』が本格始動、専門家が語るフラッシュの未来とは」では、エンタープライズフラッシュストレージの導入と「Non-Volatile Memory Express」(NVMe)と「NVMe over Fabrics」(NVMe-oF)について、大手ストレージメーカーのCTOの意見を紹介した。後編は、新しいメモリメディアの話題を中心に、引き続き大手ストレージメーカーのCTOの考えを紹介する。
ダニエル・コッブ氏(Dell EMC、グローバルテクノロジー戦略部門、バイスプレジデント) 新しいメモリメディアの誕生が期待される。IntelとMicron Technologyの「3D XPoint」がついに日の目を見るだろう。3D XPointはDRAM(Dynamic Random Access Memory)ほど高速ではないものの、NANDより高速だ。数百ナノ秒というアクセス時間で動作する。3D Xpointの低オーバーヘッドと高パフォーマンスは、NVMeに備わっているアーキテクチャのメリットを引き立てるのにうってつけだ。さらに3D Xpointが安価なメモリデバイスをもたらすことも予想される。コンピュータ業界で新しいメモリメディアが誕生するのは約20年ぶりの出来事になる。
また3D XPointへの反応として、Samsung Electronicsの「Z-NAND」のようなメディアも見かけるようになるだろう。これはDRAMとフラッシュストレージが対応できないことを補う目的で作られたものだ。Samsung Electronicsは、新しい種類のメディアを開発するのではなく、今後もNANDの高速化を図ることが可能だと発表している。業界はNANDの低価格化と高容量化に注力してきたが、高速化には対応してこなかった。大手メモリメーカーが何かしらの勝負に出るときには、そこに大きく注力するものだ。そのため、Samsung Electronicsのアプローチは技術的な面でも注目に値する。
ミラン・シェッチ氏(Hewlett Packard Enterprise、データセンターインフラグループのCTO) サーバ製品やストレージ製品で「永続メモリ」が登場するようになると予想する。以前HDDフォームファクターが存在していた領域で、DRAMのフォームファクターと、バックアップ電池が内蔵された永続メモリの両方が見られるようになるだろう。まずバックアップ電池が内蔵された「DIMM」(Dual Inline Memory Module)が導入される。そして各種永続メモリテクノロジーが実用化されるにつれて、導入も開始されるであろう。コンシューマー業界がフラッシュストレージの価格を引き下げるためにしたのと同じことを、IoT(モノのインターネット)業界が永続メモリに対してしている。ローカルメモリを必要とするデバイス搭載のセンサーが増えるにつれて、永続メモリの価格は低下して手の届く範囲に収まるだろう。ただし永続メモリの低価格化には長い年月を要することが予想される。
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