2017年は「NVMe over Fabrics」が本格始動、専門家が語るフラッシュの未来とは2017年のフラッシュストレージの行方【前編】(1/2 ページ)

大手ストレージメーカーのCTOは、「Non-Volatile Memory Express」(NVMe)SSDや「NVMe over Fabrics」(NVMe-oF)テクノロジーに注目している。果たして2017年フラッシュストレージはどうなるのだろうか。

2017年03月27日 12時00分 公開
[Carol SliwaTechTarget]
2017年はフラッシュストレージにとって飛躍の年かもしれない《クリックで拡大》

 業界をリードする技術者によれば、フラッシュストレージの技術とその導入率は2017年にさらに加速するという。

 大手ストレージメーカーで働く最高技術責任者(CTO)などの技術職のリーダーは、高密度のHDDが市場に出回って低価格化が進む中で、エンタープライズフラッシュストレージの導入が加速すると予測している。さらに、遅延の少ない「Non-Volatile Memory Express」(NVMe)SSDや「NVMe over Fabrics」(NVMe-oF)テクノロジーの影響を受けた高速なフラッシュストレージが誕生することも期待している。

 NVMeやNVMe-oFなどの最新テクノロジーを十分活用するには、既存のストレージアレイメーカーによるアーキテクチャへの取り組みが必要になる。一方、スタートアップ企業にとって、負荷の高いワークロードに対応するために高速で遅延が少ないSSDを求めるユーザーを取り込むチャンスとなるだろう。

 それから、エンタープライズフラッシュストレージの分野で、十分なパフォーマンスが得られていない企業を対象とした新しいメモリメディアが誕生している。例えば、IntelとMicron Technologyが提唱する「3D XPoint」やSamsung Electronicsの「Z-NAND」などだ。

 本稿では、ストレージ業界をリードする技術者による、2017年以降のエンタープライズフラッシュストレージとSSD全般の展望についての予測を紹介する。

加速するエンタープライズフラッシュストレージの導入

,ダニエル・コッブ氏

 ダニエル・コッブ氏(Dell EMC、グローバルテクノロジー戦略部門、バイスプレジデント) フラッシュストレージの導入は、私たちの想像を超える速さで加速し続けていくと予想する。今よりも多く、NANDフラッシュメモリの新しい形式である「3D NAND」の製造工場が操業を開始し、大規模な製造ができる状況に至るだろう。過渡期において業界が直面している小さなフラッシュストレージの不足を乗り切れば、フラッシュストレージの導入が加速する状況は続くと見ている。

フウ・ヨシダ氏

 フウ・ヨシダ氏(Hitachi Data Systems、CTO) フラッシュストレージは主要なストレージメディアになり、ストレージの調整と管理に伴う作業は軽減される。ストレージ階層におけるTier1とTier2のどちらを使えばいいかや、どのアプリケーションをフラッシュストレージで動作させるべきかについて悩む必要はない。なぜなら、全てがフラッシュストレージになるからだ。今はまさに転換期を迎えているところで、もはや価格やパフォーマンスの問題ではなくなっている。フラッシュストレージに関するロードマップも素晴らしいものになっている。3Dや3ビット記録方式「TLC(Triple Level Cell)」のような新しいテクノロジーによって、フラッシュストレージの容量は大幅に増加するだろう。業界では2020年までに、フラッシュストレージのサイズが128TBに達するとされている。つまり、大幅な価格低下が実現するだろう。

 他のストレージメーカーと、GoogleやFacebookなどの自社でストレージを構築している企業は、ストレージに付与できる機能を認識するにつれて、独自のフラッシュストレージを構築し始めるようになる。フラッシュストレージはプログラムで制御できるため、インテリジェンスを追加したり、大幅な効率アップを図ったりすることが可能だ。さらに上流の制御装置のパフォーマンスに全く影響を与えることなく、圧縮といった機能を追加することもできる。プログラミングによってフラッシュドライブのデータを削除することも可能だ。削除のコマンドを実行すると、制御装置で認識されないセルも含めて全てのセルが再フォーマットされる。これはプライバシー要件を満たす上で重要だ。

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