「高い」の一言で製品選定やり直し
“社長ブロック”をどう避ける? HCI導入稟議を通す3つのヒント
HCI製品を選定していても結局、経営層の“高い”その一言で片付けられていないだろうか。コスト削減効果とHCIベンダーが発表した新サービスで、そんな経営層にも響く3つの説得材料を紹介する。
デジタル化、ビジネスディスラプション(ビジネスの創造的破壊)、市場変革などはIT業界で広く使われている言葉(バズワード)だ。だが、こうしたバズワードの裏にあるのは、コンピュータリソースの構築と運用を迅速にするという単純な目標だ。
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を利用すれは、IT部門はこの目標に近づくことができる。だが、高額な初期費用と組織内の障壁がHCIによる企業躍進の妨げになることが多い。特にHCI製品への投資を経営幹部に促すのは容易なことではない。そのためには、強力な投資対効果の検討書を用意することが重要になる。本稿では、経営幹部とのHCIに関する議論に含めるべき3つの具体的項目について説明する。
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スケーラビリティによる費用対効果
数年~数十年前に開発され、技術刷新が必要になった旧式システム(レガシーシステム)は限られた処理量をサポートするように構築されてきた。そのため、業務規模を変えるのは簡単なことではない。稼働するシステムが増え、既存のシステムに合わなくなる程に業務が成長したら、フォークリフトアップグレード方式(ハードウェアとソフトウェアをまとめて置き換える方式)で新たなシステムを導入しなければならなかった。
HCI製品により、こうした業務規模変換が容易になる。システム一式を別のものに交換するよりも、必要に応じてサーバ、ストレージ、ネットワークなど、処理能力を段階的に増やすことができる方が望ましい。
レガシーシステムのソフトウェアは、基盤となるハードウェアと密接に結び付いている。そのため、システム構成を変えるのは、複雑かつ時間を要する作業だ。IT担当者は、ここ数年急速に性能が向上し、同時に複雑さも増したサーバ、システム、ネットワークなど、さまざまなオプションに個別に手を加えなければならない。
HCI製品は、管理者が迅速かつ簡単にサーバ、ストレージ、ネットワークなどのリソースを追加して稼働できるように設計されている。仮想化によって、システムソフトウェアに抽象化レイヤー(複雑な機能を抽象化して管理しやすくした仕組み)が追加されることで、システムのハードウェアとソフトウェアとの結び付きが緩やかになる。現在は、サーバのCPUなど、1つの要素を変更しても、管理者がOSやアプリケーションなどの要素まで変更する必要はなくなっている。こうした進化によって、企業は以前よりもずっと簡単に、インフラの処理能力を向上できるようになった。
経営幹部にHCI製品への投資を提案する際は、レガシーシステムの複雑な構成手順やスケーラビリティ(拡張性)の問題を取り除くことで、IT部門の時間とコストを節約できること強調すべきだ。
自動化による費用対効果
HCI製品のメリットの1つは、IT部門が手動で行う作業を削減できる点にある。その結果IT部門は企業に、より多くの価値をもたらすプロジェクトに専念できる。これは、新しいテクノロジーを売り込む際に強調すべき重要な側面だ。
従来のシステム設計は、多くの人手を必要とする。通常、企業には一連の開発チームとサポートチームがあり、各チームがサーバ、ストレージ、ネットワークなどのシステム要素にそれぞれ手を加えている。こうした作業は、新しいハードウェア、アプリケーション、定型作業を導入する際に必要になる。多くの場合、IT部門はただレガシーシステムを稼働し続けることだけに予算のほとんどを費やしている。
HCI製品は、従来のインフラ製品よりも効率が優れている。HCI製品の特徴は、管理インタフェースが分かれておらず、コンソールや管理システムを統合して、ハイパーバイザー(仮想化ソフト)、OS、サーバ、ネットワーク、ストレージ機能といったシステム内の全て機能を制御する点にある。
さらに、こうしたシステムは高度な自動化をサポートする。SAN(ストレージエリアネットワーク)にストレージを追加する場合、IT技術者は段階的で面倒な方法を強制されることはない。HCI製品ではこのようなタスクが自動化される。最終的には、ITサポート部門は、新しいソフトウェアのリリース速度を上げるなど、他企業との差別化を図るサービスにより多くの時間を割き、ストレージの追加などの定型業務の時間を減らすことができる。
財務上の柔軟性による費用対効果
HCI導入の大きな障害となるのが、高額な初期費用だ。
「多数のプロセッサを追加すると、企業の投資額は25万ドル(2017年9月19日現在、日本円で約2750万~2800万円)を上回る可能性がある」と語るのは、Gartnerでバイスプレジデント兼アナリストを務めるアンドリュー・バトラー氏だ。
だが、最近になってクラウドのような従量課金制に変えたHCIベンダーもある。こうした変化は、IT部門がHCI製品を導入する理由を正当化しやすくする。
HCI製品など仮想化インフラ製品を販売する企業Nutanixは2017年5月に、レンタル方式のインフラ「Nutanix Go」を発表した。契約期間は6カ月~5年までと幅があり、顧客は3、6、12カ月および3年を単位として更新を行う契約を結ぶ。また、同じ2017年5月、Dell EMCも「Cloud Flex for HCI」をリリースしている。同サービスの特徴は、課金が月単位で、利用期間が長くなる程負担が少なくなる点にある。また、初期費用は不要で、導入から1年経てば、サービスの利用を続ける義務はなくなる。
企業はこうした課金オプションを利用することで、HCI製品への従来の高額な初期投資を避けることができる。また、必要以上に長い期間システムを稼働し続ける羽目になることはなく、契約満了時にそのシステムを削除できる。
だが、このような新しい価格体系にも新たな課題が生まれる。多くのサブスクリプションやリースプログラムと同様、契約が長期にわたると月額料金が安くなる。短期の柔軟性を取るか、長期契約によって得られる低価格を取るか、企業は判断を迫られることになる。
また、システムの所有権に関する問題も未解決だ。HCI製品をレンタルする方式では、ベンダーがハードウェアを所有する。ハードウェアが企業のオンプレミスのデータセンターにある場合もそれは変わらない。では、ハードウェア内部に存在するデータの所有者は誰だろう。こうした疑問点は必ずHCIツールベンダーと話し合い、データを取り出して別のシステム基盤に移す必要があるかどうかを把握しておくことを勧める。
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