デジタルトランスフォーメーションを実現しようとしても、なかなかうまくいかない――同じような悩みを抱える企業が共通して挙げる障壁は何だろうか。さまざまな調査から見えてきた6つの障壁と解決策を紹介する。
デジタルトランスフォーメーションについて顧客に助言を提供するAccentureにとって、近年進めてきた社内変革は腕の見せどころだった。
「そのために、われわれは数年間にわたって、精力的なペースで変革を実行することになった」と、Accentureのコアインフラおよびビジネスオペレーション担当マネージングディレクターを務めるメリム・ビシロビッチ氏は語る。
それは数字が物語っている。例えば、Accentureでは3年前、インフラとコンピューティングリソースの10%だけをクラウドで賄っていた。今では、90%をクラウドで賄っている。
「こうした前進は、難なく達成できたわけではない」とビシロビッチ氏は語る。Accentureのリーダーは、デジタルトランスフォーメーション実現の潜在的な障害が多数あることに気付いた。例えば、新しいスキルの必要性や、セキュリティ、組織が変革を継続できるスピードといった具合だ。
このようにデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいるのは、決してAccentureだけではない。
ミュンヘン工科大学がSAPおよびInitiative for Digital Transformationと共同でまとめた2017年発表の調査レポート「Skills for Digital Transformation」(デジタルトランスフォーメーションのスキル)によると、調査に回答した18カ国の企業役員116人のうち90%は、デジタルトランスフォーメーションは、自社の全体的なビジネス戦略にとって重要だと考えている。
一方、Gartnerが実施した388人のCEOに対する調査では、これらのCEOの42%がデジタルビジネストランスフォーメーションに着手しているが、半数近くが取締役会から、このトランスフォーメーションを進めるようプレッシャーを受けていることが分かった。
しかし、Accentureと同様に、これらの調査に回答した組織は、デジタルトランスフォーメーションを実現する際の障害に気付いており、最高情報責任者(CIO)や他の役員がさまざまな懸念を示している。
ITベンダーのLogicalisによる「Logicalis Global CIO Survey 2017-2018」という調査では、組織文化、コスト、レガシーインフラが、デジタルトランスフォーメーションの上位3つの障害であることが示された。スキル、セキュリティ、デジタルトランスフォーメーションへの関心不足も、障害として挙げられている。
Harvard Business Reviewの調査レポートは、デジタルトランスフォーメーション実現への上位3つの課題として、「試作に時間がかかること」「レガシーシステム」「業務が縦割りで、横断的な連携が取れないこと」を指摘している。これらに続く課題は、「IT部門とビジネス部門の協力不足」「リスク回避的な文化」「変更管理能力の低さ」だという。
以下では、実績あるIT担当役員やコンサルタントが特定したデジタルトランスフォーメーション実現への6つの大きな障害と、こうした専門家がCIOに勧めるこれらの障害の克服法を詳しく見ていく。
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