想像力の欠如が可能性を閉ざす
「iPhone X」のすごさを理解できないIT幹部は職を失う?(1/2 ページ)
「ARKit」「ニューラルエンジン」「Face ID」など、Appleが「iPhone X」に詰め込んだ要素は数多い。企業のCIOにとっては、それが実現する具体的な未来こそが重要だ。
Appleが新型スマートフォン「iPhone X」を発表した。このiPhone Xの登場は、最高情報責任者(CIO)に何らかの変革をもたらすのだろうか。
人工知能(AI)関連処理エンジン「ニューラルエンジン」を搭載した新型SoC(System on a Chip)「A11 Bionic」の登場により、モバイルアプリケーションに対する開発チームの考え方がどのように変わるのか。iPhone X以外の一部のiOSデバイスでも利用可能な、拡張現実(AR)関連のフレームワーク(ライブラリやテンプレートなどの集合体)「ARKit」が、ARを主流へと発展させるようになるのか。顔認証システム「Face ID」は、初めて大々的に発表された時に不評を買ったが、この機能により顔認証技術が至るところで利用されるようになるのか。
それらの問いへの答えは、CIOが洞察を得るに当たって誰に頼るか次第で変わる。iPhone Xを、未来に対するわれわれの希望や恐れ、皮肉を試すロールシャッハテスト(人格検査の一種)だと考えるとよいだろう。
オンチップAIとFace ID
調査会社Forrester ResearchのAI担当アナリスト、ブランドン・パーセル氏は、CIOの考え方を根本的に変え得るものとして、Appleの新しいAR機能よりもニューラルエンジンに注目する。「ニューラルネットワークをiPhoneで動作させることが可能になるからだ」と、同氏はその理由を説明する。ニューラルネットワークは現在、AI技術の世界で大きな盛り上がりを見せている。
ニューラルネットワークは、アプリ内で使用するに当たって、非常に複雑かつ多くの計算を必要とするアルゴリズムだとパーセル氏は言う。Appleが控えめに紹介した機械学習向けフレームワーク「Core ML」と併せて、ニューラルエンジンやiPhoneでニューラルネットワークを処理する機能は「アプリに大きなイノベーションを起こす」と同氏は語る。
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開発チームはiPhoneの性能低下を心配することなく、機械学習をiPhoneアプリに組み込めるようになる。パーセル氏は企業に対して、AI技術を利用して顧客エンゲージメント(顧客との絆)を形成する新たな手段である「会話型コンピューティング」に向けて、今から準備を始めることを勧める。「CIOは企業の利害関係者に対して、自社ブランドで会話型の体験を活用できるような支援策を考えるべきだ」と同氏は言う。
例えば現在、顧客からの単純な質問に回答するために、多くの銀行がチャットbotを導入している。これにAI技術を組み込むと、実際に支店で勤務している銀行員のように、資金の最適な節約法や大学ローンの返済方法などに関して、各個人に合ったアドバイスを提供できる。そうすれば「信頼できるパーソナルアシスタント」だと顧客にすぐに認めてもらえるだろう。
この種の会話コンピューティングを利用するには、CIOがクラウドやデバイスで膨大な量の非構造化データを利用し、機械学習をする方法を理解している必要がある。これは、AppleがiPhone Xでしているのと同じことだ。
もちろん何度かつまずくことになるだろう。これらの機能を完全にするには、まだしばらく時間を要する。データを使って会話型コンピューティングを訓練する必要もある。「質の低い顧客体験が一般に提供されてしまうこともある」とパーセル氏は認めつつ、銀行だけでなく「全ての企業は会話型コンピューティングの方向に進んでいる」と語る。
ニューラルエンジンによって実現するFace ID機能も、確実に変革力を持っていることを証明するだろうとパーセル氏は予測する。「iPhoneが普及すれば、この機能も至る所で利用される機能になるだろうし、最終的には顔認証が世界的に受け入れられることになる」(同氏)
CIOは今、従業員や顧客向けのツールとして、顔認証を利用する方法について理解していく必要があるとパーセル氏は指摘。顔情報という非常に機密性の高い情報を保存する方法についても理解していく必要があると言う。
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