ブラックホールを観測するため、世界中に分散する電波望遠鏡が生み出すデータの記録と保存に採用されたのは、クラウドではなく従来型の手法だった。プロジェクトチームが最も合理的だと判断した解とは。
2019年4月10日、巨大ブラックホールの観測を目指したプロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」(EHT)の観測チームが、初めて観測に成功したブラックホールの画像を公開した。高度なITを結集させることで歴史に残る記録的な成果を生み出した。
EHTの電波望遠鏡(光ではなく電波を観測する望遠鏡)は、南極を含む世界8カ所に分散して設置されている。それぞれの電波望遠鏡で記録された膨大な量の電波信号のデータは、米マサチューセッツ州ウェストフォードにあるマサチューセッツ工科大学(MIT)ヘイスタック観測所と、ドイツのボンにあるマックス・プランク電波天文学研究所に送られる。
一躍有名になったこのブラックホールの画像は、2017年に5300万光年以上離れた銀河「M87」で捉えたデータだ。ストレージのデータ量は約3.5P(ペタ)Bを要し、データを関連付けて画像を形成するまでに2年かかった。
EHTのエンジニアは、この天文学研究で扱うデータを「天文学的」とはならないコストで保存する手段を見つける必要があった。
通常であれば、世界に分散した観測拠点から、長期にわたって得られるデータを集約するストレージとしては、クラウドが有望な選択肢となる。EHTのデータサイエンティスト、リンディ・ブラックバーン氏は「電波望遠鏡から生み出されるデータの保存先として、クラウドは優れた選択肢ではなかった」と語る。それはなぜだったのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。