一時は廃れたかと考えられた「ストレージ階層化」だが、いま再び注目を集めている。その陰にあるのは、多様な進化を遂げるフラッシュメモリの存在だ。
企業の間で「ストレージ階層化」が広く採用されるようになったのは、フラッシュメモリの高いパフォーマンスとHDDと同じストレージインタフェースを備えたSSD(ソリッドステートドライブ)が使用され始めた時だ。フラッシュメモリの価格下落とともにSSDの容量が増大し、オールフラッシュストレージに移行する動きが広がった。その結果、ストレージ階層化の人気は低迷した。
さらに時が流れ、パフォーマンスもコストも異なるさまざまな種類のフラッシュストレージが登場した。例えば、IOPS(1秒当たりに処理できるI/O数)の性能が高い「NVMe」(Nonvolatile Memory Express)、データ読み書きの待ち時間が長くなりやすい「Serial ATA」(SATA)などのストレージインタフェースを採用したフラッシュストレージがある。さらに「ストレージクラスメモリ」(SCM)というメモリの新たな技術も登場した。こうしたさまざまな技術によるコストとパフォーマンスの利点を最大限に活用する方法として、ストレージ階層化が再び脚光を浴びようとしている。
ストレージ階層化とは、データの利用価値に応じてコストとパフォーマンスを最適化するようポリシーベースで管理する手法だ。データは、古くなり利用頻度が低下するに連れてその価値が低下する。価値が下がったデータは、高速なデータの読み書きを実現するSSDのような階層から、HDDのような低いパフォーマンスで低コストの階層に移される。データの古さに応じてストレージを階層別に管理することで、コスト効率を高める効果がある。
ある調査によると、データはその大半が作成後72時間以内に利用される傾向がある。その後は徐々に利用頻度が下がり、30日後に急減するのが一般的だという。ポリシーを設定する際は、最後にそのデータを利用した日時や作成日時を基準にして、経過時間を基にデータ管理の階層を移動する。
ストレージ階層化に用いるソフトウェアは、ポリシーで設定するしきい値に基づいてデータを配置または移行する仕組みを採用している。パフォーマンスが高くコストも高いストレージ層を、利用価値の高いデータに使用する。古くなって利用頻度が下がったデータを、パフォーマンスが高い層から低い層に移す。SSD、高速HDD、大容量HDDといった複数層で構成される階層化の例もあり、こうした場合はデータを複数回移動する。
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