キーワードは「イレージャーコーディング」
ストレージのRAID離れ オブジェクトストレージの人気が高まる理由は?(1/3 ページ)
RAIDは定評のあるストレージテクノロジーで、信頼性と安全性の高さで知られているが、データ量の増加に伴い、より柔軟性が高く、効率性に優れた手段が注目されている。
企業は長年にわたってRAIDを頼りにしている。企業データを保存するには非常に効率が高く、信頼できるツールであることが証明されているためだ。RAIDは重要なシステムのパフォーマンスを向上させ、データの損失や破損からも保護する。
だが、RAIDには問題がある。昨今のデータ量増加のため、障害が発生したドライブを再構築する時間が、初期のRAIDに比べてかなり長くかかるようになっている。保存しなければならないデータが増えるほどRAIDの効率が低下し、そのデータに対するリスクも大きくなる。その結果、多くの組織がRAIDの代替手段を模索するようになっている。
RAIDに代わる新たな選択肢として人気を集めているのがオブジェクトストレージだ。RAIDに比べて大量のデータを簡単かつ安価に処理できるのがその理由だ。オブジェクトストレージが成熟し、導入が広がるにつれ、企業はRAID、さらにはブロックストレージの将来を疑問視するようになるかもしれない。
RAIDの概要
RAIDは長年の実績があるストレージテクノロジーだ。パフォーマンスを最大限に引き出し、物理ドライブに障害が発生したり、データが破損したりした場合にデータを復旧できる。RAIDはストレージアレイの物理ディスクをまとめてグループにし、1つの論理ドライブとして表現する。データを格納するプロセスでは、ストライピング(分割)、ミラーリング(複製)、パリティ(誤り検出)という3つの重要なテクノロジーを利用する。通常は、この中の幾つかが相互に組み合わせられる。
ストライピングは、複数のドライブにデータを均等に分割する。システム稼働状態を安定に保ち、パフォーマンスを向上させる。ミラーリングは同じデータを2台以上のドライブに同時に書き込んで、冗長性を確保する。パリティは転送中にデータが損失したり上書きされていないか検証したりすることで、フォールトトレランス(一部が故障してもシステムを止めない設計方式)とデータ訂正を実現する。
RAIDはレベル別に分類される。例えば「RAID 0」はデータを複数のドライブにストライピングするが、ミラーリングとパリティはしない。「RAID 1」はパリティとストライピングをせずにデータをミラーリングする。「RAID 5」は最も一般的なRAID実装で、ストライピングとパリティを使用する。ただし、ミラーリングはしない。RAIDレベルは組み合わせることもできる。例えば、「RAID 10」(RAID 1+0)は、RAID 1とRAID 0を使用してパフォーマンスとデータ保護の両方を実現する。
RAIDを使用するサーバではデータの書き込みと読み取りに使われるスピンドル(外部記憶装置)が多くなる。そのため、個別のドライブよりもスループット(単位時間当たりの処理性能)を向上させられる。同時に、追加ドライブでパリティやミラーリングを利用すれば可用性と回復性を高められる。
RAIDはデータセンターでも重要な役割を果たしているが、昨今のストレージ量に対応するようには設計されていない。ストレージアレイのディスクに障害が発生したら、そのディスクを交換するまでデータは脆弱(ぜいじゃく)な状態になる。ディスクの交換はデータ量によっては数日掛かる場合もある。その間に、別のディスクで障害が発生したり、読み取り不能なデータが含まれているのが見つかったりするかもしれない。データ量が多くなれば、そのようなデータを失うリスクも高くなる。
こうした理由から、RAIDに代替として「イレージャーコーディング」が普及している。イレージャーコーディングは、冗長なデータ要素を使用して、拡張とエンコードが可能な断片(フラグメント)にデータを分割する。イレージャーコーディングは、データの再構築に伴う時間とオーバーヘッドをRAIDよりも短縮できる。
業界全体のトレンドも、RAID離れに一役買っている。例えば、超大規模環境(ハイパースケールコンピューティング)では冗長なサーバを使用してデータを保護する。SSDには書き換え限度を伸ばす技術である「ウェアレベリング」やエラー訂正コードなどの機能が組み込まれている。独自のデータ保護機能を追加するSSDベンダーもある。その一例がNetAppの「Helix」だ。これは分散型レプリケーションアルゴリズムで、同社の「SolidFire」オールフラッシュアレイに搭載されている。
そして、オブジェクトストレージの存在だ。オブジェクトストレージによってデータストレージの性質が変わりつつある。
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