Samsung Electronicsの3次元NAND型フラッシュメモリ「V-NAND」はメモリセルの積層数を増やすことで大容量化を進め、ついに100層を突破した。フラッシュストレージの大容量化にどのような影響があるのだろうか。
Samsung Electronicsが、メモリセルを垂直方向に配置した3次元NAND(3D NAND)型フラッシュメモリ「V-NAND」(Vertical NAND)を搭載した商用フラッシュストレージを発売したのは2013年のことだ。V-NANDの第1世代は、絶縁体に電荷を安定して保存する「チャージトラップフラッシュ」(CTF)の技術を採用した24層のメモリセルで構成されていた。以来、SamsungはV-NAND技術の改良を着実に進め、いよいよ第6世代V-NANDの生産を開始した。
第6世代V-NANDはメモリセルが100層を超え、メモリモジュールとして最大256GBの保存容量を提供できる。Samsungがまず発売するのは容量250GBのSATA(Serial ATA)接続型SSD(ソリッドステートドライブ)だ。
V-NANDが採用している技術の「チャネルホールエッチング」は、フラッシュメモリの積層数増大に寄与する。V-NANDのメモリチップは、複数のスタック(積み重ね)型メモリセルを積載した構造を持つ。メモリセルを積層するための円筒形の穴である「チャネルホール」を上から下まで垂直に貫通させることで、均一なCTFセルの配置を可能にしている。
第6世代V-NANDは、それまで9億3000万個だったメモリチップのチャネルホール数を6億7000万個に減らすことでメモリチップサイズを縮小し、製造効率を向上させている。データ伝送速度を高める回路設計を採用しており、Samsungによると書き込みレイテンシ450マイクロ秒以下、読み込みレイテンシ45マイクロ秒以下を実現可能だという。積層数を増やすと発生しやすくなるエラーや読み込みの際のレイテンシを抑えることを可能にしている。この新しい回路設計によって、消費電力を前世代よりも低減している。
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