「ストレージクラスメモリ」の可能性と市場動向【後編】
次世代メモリ「SCM」に挑むMicron、キオクシア、Samsung Optaneを追うのは?
主要メモリベンダー各社が「ストレージクラスメモリ」(SCM)の開発を進めており、ストレージアレイやサーバへの採用も進む。市場はどう動くのか。
メインメモリとストレージの中間的な役割を果たす「SCM」(ストレージクラスメモリ)。それを実現する不揮発性メモリの一つが「3D XPoint」だ。NAND型フラッシュメモリよりもデータの読み書き速度が高速で、耐久性の高いストレージを実現できる。
併せて読みたいお薦め記事
「ストレージクラスメモリ」をさらに詳しく
- 「ストレージクラスメモリ」とは? 重要技術の「ReRAM」から理解する
- 次世代メモリ「Optane」はDRAMと何が違う? 2つの動作モードを解説
- 2020年、新「Intel Optane」でメモリのストレージ化が加速
NAND型フラッシュメモリを深堀り
3D XPointはIntelとMicron Technologyが共同開発した不揮発性メモリだ。Intelは「Optane」シリーズで幾つかの製品を出している。ストレージの「Intel Optane DC SSD」はバイト単位とブロック(データを記録する最小単位である「メモリセル」をまとめた塊)単位の両方のデータアクセス方式を採用でき、インタフェース規格PCI Express(PCIe)に準拠する。
メモリモジュールの「Intel Optane Persistent Memory」は、メインメモリの標準的なメモリモジュール規格「DIMM」(Dual In-line Memory Module)準拠のスロットに装着できる。Intel Optane Persistent Memoryはデータを永続的に保持し、再起動や停電時でもデータ損失のリスクが小さい。
Optaneシリーズは既に幅広いストレージアレイに採用されている。Dell EMCのストレージアレイ「Dell EMC PowerMax」もその一例だ(写真1)。Dell EMCによると、「Dell EMC PowerMax 8000」の場合、最大1500万IOPS(1秒当たりのデータ読み書き回数)、読み取りレイテンシ(遅延)100マイクロ秒未満を実現する。Pure Storageもストレージアレイ「FlashArray」に、Hewlett Packard Enterprise(HPE)もサーバ「HPE ProLiant」やコンポーザブルインフラ「HPE Synergy」などにOptaneシリーズを搭載可能にしている。
Micron Technology、キオクシア、SamsungのSCM
Micron Technologyも3D XPointをベースにした独自のストレージ「X100」を提供している(写真2)。Micron TechnologyのストレージもIntel Optane DC SSDのようにPCIeスロットに装着でき、一般的なNAND型フラッシュメモリを使ったSSDよりも低いレイテンシと、高速なデータ読み書きを実現する。
キオクシア(旧社名:東芝メモリ)もSCM市場に参入している。同社の3次元(3D)NAND型フラッシュメモリ「BiCS FLASH」の技術をベースにしたSCM「XL-FLASH」を提供済みだ。キオクシアによると、XL-FLASHのデータ読み出しレイテンシは5マイクロ秒以下であり、1つのメモリセルに3bitを格納する「トリプルレベルセル」(TLC)のBiCS FLASHと比べて約10倍高速になる。
Samsung ElectronicsはこれらのSCMと似た特徴を持つ3D構造のNAND型フラッシュメモリ「Z-NAND」と、それを搭載するストレージ「Z-SSD」を提供している。同社はZ-NANDをSCMだと説明してはいないが、業界ではZ-NANDとOptaneシリーズ、XL-FLASHがよく比較される。
SCM市場の未来
SCM市場はまだ歴史が浅く、流動的だ。SCMを実現する候補となる不揮発性メモリには「ReRAM」(Resistive Random Access Memory:抵抗変化型メモリ)や「PRAM」(Phase Change RAM:相変化メモリ)もある。各メモリの区別は明確ではない。3D XPointはReRAMやPRAMとして扱われることもある。IntelのOptaneシリーズがSCM市場をけん引していることは確かだ。HPEやDell EMC、Pure Storageなど主要なハードウェアベンダーが採用している。
ユーザー企業がSCMをどの程度受け入れるのかは分からない。SCMをフル活用するには、アプリケーション側に変更を加えなければならないからだ。
SCMは、ストレージがサーバのようなデータ処理能力を持つ「コンピュテーショナルストレージ」のような新興技術とも競合するだろう。コンピュテーショナルストレージはI/O(データの読み書き処理)のボトルネック解消とレイテンシの削減を目指す技術だ。
競合する技術がひしめく中で、今後はさまざまなベンダーがSCM製品を開発したり、自社製品に搭載したりすると予測できる。ダイナミックに変化する市場ではどんなことでも起こる可能性がある。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
6
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
7
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
8
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
9
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
10
「IT運用・情報システム業務」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー