2020年、新「Intel Optane」でメモリのストレージ化が加速曖昧になるメモリとストレージの境界

Intelは2020年にIntel Optaneのラインアップを拡充する予定だ。新Intel Optaneは速度と容量が向上し、メモリがストレージの役割も担うようになるだろう。

2019年11月22日 08時00分 公開
[Yann SerraComputer Weekly]

 Intelは、より高速・大容量の永続メモリからSSDまで、幅広い製品を2020年にリリースする予定だ。「Optane DC Persistent Memory」(PMEM)、「Optane SSD」、クアッドレベルセル(QLC)フラッシュを備えた従来型SSDなどだ。新世代のOptane SSD(コードネーム:Alder Stream)は、既存の「P4800X」よりもパフォーマンスが50%向上する予定だ。

 さらに、2020年度にQLC 144層3D NANDのSSDの出荷を予定している。Intelによれば、競合他社の128層製品を上回る容量を実現するという。

Optane DC PMEM

 Xeon(Cascade Lake)搭載サーバ向けの永続メモリと同様、Optane DC PMEMは128GB、256GB、512GBの容量でリリースされる予定だ。DRAMと組み合わせれば、ソケットが1つのワークステーションではメモリを最大3TB(Optane DC PMEM 512GB×4+DDR4 SDRAM 256GB×4)、ソケットを2つ備える「Cooper Lake」(14ナノメートル)や「Ice Lake」(10ナノメートル)のCPU(こちらも2020年リリース予定)ならばその2倍までメモリを搭載できる。

 Optane DC PMEMにはメリットが2つある。

 一つは、同じ価格であればDDR4 SDRAMの2倍の容量が提供されることだ。ただし速度はDDR4 SDRAMほど速くない。DDR4 SDRAMのレイテンシは約70ナノ秒だ。これに対してOptane DC PMEMのレイテンシは180ナノ〜1000ナノ秒の範囲になる。それでもOptane DC PMEMのレイテンシはこれまでのSSDよりも1000倍改善されており、HDDを仮想メモリに使うPCに比べればはるかに高速になる。

 もう一つは、Intelの「App Directモード」を使うとOSの更新などの再起動時にもデータが失われないことだ。データが既にメモリ内にあるため、どのような状況でもサーバの再起動が大幅に高速になる。

 大規模データベースを運用するサーバにとってはこの2つのメリットが重要だ。2019年6月に発表されたIntelの「Distributed Asynchronous Object Storage」(DAOS)を補完する。DAOSを利用すれば、通常はストレージアレイのオブジェクトストレージにアクセスする必要のあるデータをメモリに直接保存できる。これは、仮想マシン(VM)を実行するサーバにも役に立つ。

 ただし、ワークステーションでのOptane DC PMEMのユースケースはまだ決まっていない。Intelは2020年以降、デスクトップやノートPC向けOptane DC PMEMの導入について検討している。

Optane SSD

 Optane SSDのパフォーマンスの鍵となるのはコントローラーだ。コントローラーは、入出力(I/O)の量が増えるにつれてレイテンシが増加するのを食い止める。例えばP4800Xのレイテンシが現在10万IOPSで約10ミリ秒だとすると、50万IOPSで20ミリ〜60ミリ秒まで上昇する可能性がある(パフォーマンスの上限)。

 新しいOptane SSDのレイテンシは、10万から80万IOPSに対して8ミリ〜12ミリ秒の範囲に収まる予定だ。

 また、新しいOptane SSDは2層の現行世代とは異なり4層の3D XPointコンポーネントのメリットを生かせるため、容量は2倍になるだろう。P4800Xは現在1.5TBの容量を達成しているため、次世代からは恐らく3TBになる。

QLC 144層3D NAND SSD

 144層SSDのリリースまでのギャップを埋めるため、Intelは2019年末に3D NAND QLCだが96層の製品をリリースする予定だ。これは、NVMe接続を備えたM.2形式の「SSD 660p」(64層)の後継になる。

 Intelの情報によると、この新製品は当初既存バージョンとほぼ同じ容量(1TB)で売り出す予定だという。ただしパフォーマンスは向上する。読み取りスループットは1200M〜1800Mbps、書き込みスループットは1300M〜1890Mbps。書き込みIOPSは3万7000〜4万7600が予定されている。

 これらの数値はトリプルレベルセル(TLC)SSDの2倍、マルチレベルセル(MLC)SSDの3倍に相当する。だが、QLCは主にコスト重視のユースケースが対象となる。これらのIntel SSDは1TB当たり約100ドル(約1万円)になる。対して「Samsung SSD 970 PRO」は3D NAND MLCを1TB当たり3Gbpsに押し上げるが、コストは1TB当たり約300ドル(約3万2000円)になる。

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