在宅勤務などのテレワークを導入した企業の間で、従業員に支給するコミュニケーション製品を充実させる動きが広がっている。テレワーク長期化が見込まれる中、コミュニケーション製品に求められる変化とは。
コミュニケーションベンダーが製品ロードマップの見直しを進めている。在宅勤務などのテレワークを導入した企業がテレワーカーに、コラボレーションをより便利にする高機能なハードウェアを支給しようとしていることが背景にある。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に伴い、企業はオフィスの緊急閉鎖を余儀なくされた。その際、従業員にコラボレーション向けハードウェアを支給する綿密な計画を立てていた企業は多くない。ただし一部の企業は、従業員のテレワークに必要な製品を調達するための、一貫した戦略の策定に乗り出している。これを受け、テレワーク向けの新しい製品の開発を表明するコミュニケーションベンダーが出てきている。
外出禁止令に従って、世界65カ所のオフィスを閉鎖した通信機器ベンダーのCienaは従業員に対して、任意の製品の購入に使える給付金を支給した。同社のCIO(最高情報責任者)を務めるクレイグ・ウィリアムズ氏によれば、これまでのところ、既成のWebカメラやヘッドセットだけでほとんどの従業員のニーズを満たしているという。
Cienaの製品開発に携わるエンジニアは今後、さまざまなオンライン会議向けハードウェアの恩恵を受けることになりそうだ。同社のエンジニアは、ホワイトボードに自らの考えを書いたり、お互いの席を行き来して相手の肩越しに画面を見たりすることに慣れている。彼らには、そうした仕事のスタイルを自宅で再現するための手段が必要だという。
「われわれの従業員の一定数は『イマーシブエクスペリエンス』(没入型体験)を強く必要としている」とウィリアムズ氏は指摘する。Cienaは現在、この問題の解決に当たる専門家チームの立ち上げを検討している。
かなりの数の企業が当分の間、テレワークを継続すると考えられる。アナリストは、政府が制限を緩和しても、多くの企業は従業員のテレワークを認めるだろうと予想する。
コミュニケーションベンダーは、テレワーカーのニーズを長期的にどう満たしていくか検討し始めている。会議用システムベンダー大手のPlantronics(「Poly」の名称で事業展開)は、「真のテレワークカテゴリーの製品」を追加するために、製品ロードマップを改訂している。同社のCRO(最高売上責任者)を務めるカール・ウィーズ氏は「新しい製品はコンシューマー向けではなく、在宅のプロフェッショナルを支援する特定用途向けになる」と説明する。PC周辺機器大手のLogitechは、Webカメラとヘッドセットをバンドルした製品をテレワーク向けに販売している。この製品の発売は、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)の発生前だ。
アナリストは、特にオンライン会議向けハードウェアにおいては、背景のノイズを抑え、不十分な照明を補う機能がより重要になるとみている。また企業は、ハードウェアをリモート管理するための優れたツールも必要とする。
Microsoft製品の導入を手掛けるModality Systemsのトム・アーバスナット氏(プリンシパルソリューションアーキテクト)は、長期間のテレワークをより快適にする製品として、高品質なスピーカーフォンやノイズキャンセリングマイク付きヘッドセットを挙げる。
パンデミック対策としてコミュニケーションベンダーが開発を加速させる可能性がある、もう一つのカテゴリーの製品が、タッチスクリーンディスプレイだ。現在販売されているタッチスクリーンディスプレイは価格が高い。Cisco Systemsの「Cisco Webex Desk Pro」のような、Web会議やホワイトボード向けに利用するハイエンドのタッチスクリーンディスプレイの価格は、数千ドルに上る。企業は通常、こうした高額製品はエグゼクティブ(上級役員)用にしか買えない。
調査会社Gartnerのアナリストであるブライアン・ドアティ氏は、より安価なタッチスクリーンディスプレイが必要だと考えている。「ベンダーはエグゼクティブだけでなく、ユーザーエクスペリエンス(UX)デザイナーや研究開発に携わるエンジニアに普及させるため、手ごろな価格の製品を開発すべきだ」とドアティ氏は語る。
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