「5G」が登場したことで「AI」技術の活用が大きく進む可能性がある。その背景には何があるのか。なぜ「4G」のままでは駄目なのか。専門家の話を交えて考える。
「5G」(第5世代移動通信システム)とAI(人工知能)技術は、調査会社Gartnerが提唱する「ハイプサイクル」(成熟度や採用度で図る技術のライフサイクル)では異なる段階にある。両者は組み合わせることで相乗効果を生み、共に発展する可能性がある。
AIモデルの開発や運用では大量のデータを使用するため、データを生み出すデバイスを接続する無線ネットワークにはデータ伝送の高速性や応答性の良さが求められる。5Gを利用すれば、無線ネットワークで大量のデータを伝送し、多数のデバイスを効率的に接続できるようになる。
アナリストは5GとAI技術が連携して機能し、企業の業務改善に貢献するようになると予測する。2020年現在、5GとAI技術を組み合わせて利用している企業はごくわずかだと言わざるを得ない。将来的に両者は共生関係になり、企業に大きなメリットをもたらすようになるという。
現時点では移動通信システムとして「4G」(第4世代移動通信システム)が広く利用されている。AI技術と連携されることを前提にすると、4Gは無線ネットワークとして十分とは言えない。5Gに期待が寄せられるのは、4Gの制約を乗り越えられる特性を持っているからだ。
5Gはデバイスの多数同時接続と低レイテンシ(低遅延)を可能にし、ネットワークを介したデータ処理を高速化することでイノベーション(技術革新)を促進する可能性を持つ。
増加の一途をたどるデータ量をさばくには4Gの能力には限界がある。「4Gまでの移動通信システムでは、伝送可能なデータ量や接続できるデバイス台数が制限される」。調査会社Forrester Researchのプリンシパルアナリスト、ダン・ビーラー氏はこう指摘する。
既存の4Gを利用したネットワークで扱うデータ量や、接続するセンサーなどのデバイスの数が増えると、4Gでは処理し切れないという問題に直面する可能性がある。ビーラー氏は「4Gを使っていると近いうちに壁にぶつかる。5Gが開発された1つの理由はこの点にある」と語る。
5Gはデータ伝送が非常に高速で、極めて大容量のデータを伝送できる。さらに使用できる周波数の幅が広い。ビーラー氏によると、1平方キロ当たり最大100万台のデバイスの同時接続ができることも4Gとの大きな違いだ。
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