「5G」は医療機関でどう利用できるのか。アナリストの発言を基に、治療への活用の可能性を考える。
「5G」(第5世代移動体通信システム)はまだ登場したばかりだ。5Gの勢いが増し、商業利用が広がるまでには、少なくとも数年はかかるだろう。医療分野に根付くのには、さらに長い時間が必要になる。とはいえ医療機関のIT担当者は、医療機関での5G活用について今から始めたとしても、決して早過ぎることはない。今回は前編「病院が今知っておくべき『5G』の基礎知識」に引き続き、5Gが利用できる医療分野について説明する。
5Gは医療分野の既存機能を強化する。「医療機関の最高情報責任者(CIO)は、容易に達成できる5G最初の用途として遠隔治療を調査すべきだ」と、ITコンサルティング会社Technology Business Researchで電気通信アナリストを務めるクリス・アントリッツ氏は考える。
「遠隔医療システムには、基本的には単なるビデオ会議機能があればよい」とアントリッツ氏は語る。しかし低遅延かつ高解像度で、なめらかな操作性は、「4G」(第4世代移動体通信システム)では実現できなかったという。「5Gはそのような観点から医療を改革する可能性がある」(同氏)
調査会社Forrester Researchでアナリストを務めるジェフ・ベッカー氏も、アントリッツ氏と同意見だ。遠隔医療はネットワーク遅延やインターネット接続の問題によって制限を受けると同氏は指摘。「ネットワークインフラが乏しい地方は、特にその影響を受ける」と述べる。
5Gはこうしたネットワーク利用の課題を軽減する機会になると、ベッカー氏は見ている。「インターネットへの高速アクセスが広がり、遠隔医療がトラブルなく利用できるようになることに期待する者は多い」(同氏)
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