リモート印刷を失敗させる「ファイアウォール」の“駄目な設定”とは「リモート印刷」の6つのトラブルシューティング【後編】

「リモート印刷」が失敗する場合、幾つかのトラブルシューティングを試すことで問題を解消できる可能性がある。VPNクライアントやファイアウォールの設定を確認する手順を紹介する。

2021年07月23日 05時00分 公開
[Brien PoseyTechTarget]

関連キーワード

VPN | Windows 10 | Mac | 在宅勤務


 遠隔にあるプリンタ(リモートプリンタ)で印刷をする「リモート印刷」が失敗する場合のトラブルシューティングとして、前編「VPN経由の『リモート印刷』ができない原因を特定する方法」と中編「『リモート印刷ができない』を解消する『VPN設定変更』『IPアドレス接続』とは」は下記の方法を紹介した。

  • 問題の範囲を絞り込む
  • VPN(仮想プライベートネットワーク)接続が正常に機能していることを確認する
  • VPNクライアントによるプリンタへのリダイレクトをチェックする
  • プリンタのIPアドレスを使った接続を試す

 これらの方法を試しても問題が解決しない場合のトラブルシューティングとして、本稿は下記2点を紹介する。

  • スプリットトンネリング設定をチェックする
  • ファイアウォール設定を確認する

5.スプリットトンネリング設定をチェックする

 一部のVPNクライアントは、「スプリットトンネリング」機能を備えている。この機能は「必ずしも全てのトラフィックをVPN経由で送信する必要はない」という考え方に基づいている。例えばエンドユーザーがあるWebサイトにアクセスする場合、エンドユーザー自身のインターネット接続を使えばよく、VPNを経由すべき理由はあまりない。スプリットトンネリングは、一部のトラフィックをVPN経由で送信し、他のトラフィックをインターネット経由で送信することを可能にする。

 スプリットトンネリングができるVPNクライアントは通常、VPNを経由するトラフィックを指定できる。少なくとも一部のVPNクライアントは、VPNを経由することが明確に許可されていないトラフィックを全てインターネット経由にする設計を採用している。このため、リモート印刷がVPNを経由の対象として許可されていないことが原因で失敗することがある。この問題を修正する方法は、スプリットトンネリングを無効にするか、印刷関連のトラフィックがVPNを経由する設定にスプリットトンネリングを再構成することだ。

6.ファイアウォール設定を確認する

 リモート印刷の問題をまだ解決できていない場合は、必要なファイアウォールのポートが開いていることを確認する。必要なポートは、プリンタの設定によって異なる。例えばエンドユーザーが「Windows」のプリントサーバに接続している場合、管理者はTCP(Transmission Control Protocol)のポートである139および445と、UDP(User Datagram Protocol)のポートである137および138を開く必要がある。Windowsのファイアウォールは、各ポートを個別に開くことなくファイルとプリンタの共有を許可する選択肢も用意している(図)。

画面 画面 Windowsのファイアウォールでファイルとプリンタの共有を許可する設定(画面は英語版)《クリックで拡大》

 必要なポートは、ネットワーク印刷をどのように構成しているかによって異なる。例えばエンドユーザーがHPのプリントサーバ「HP JetDirect」に接続している場合は、上記とは別のポートを開く必要がある。「Mac」は印刷にIPP(Internet Printing Protocol)を使用する可能性があり、その場合はポート631を開く必要がある。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品資料 ゾーホージャパン株式会社

ネットワーク遅延の原因を追究、帯域利用の現状分析と将来予測を手軽に行う方法

リモートワークやクラウドサービスが拡大する中、ネットワーク遅延の課題を抱える企業も少なくない。通信遅延は生産性にも影響するだけに契約帯域の見直しも考えられるが、適切な帯域を把握するためにも、帯域利用状況を分析したい。

事例 株式会社マクニカ

通信コストを約4分の1削減&Web会議も快適に、事例で学ぶネットワーク改善術

在宅勤務でSIM通信を利用していたが、クラウドの通信量急増により、帯域が圧迫されWeb会議での音切れが発生したり、コストがかさんだりと、ネットワーク環境の課題を抱えていたシナネンホールディングス。これらの問題を解消した方法とは?

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VPNが「もはや時代遅れ」であるこれだけの理由

VPN(仮想プライベートネットワーク)は、セキュリティの観点から見ると、もはや「安全なツール」とは言い切れない。VPNが抱えるリスクと、その代替として注目されるリモートアクセス技術について解説する。

製品資料 アルテリア・ネットワークス株式会社

VPNの3つの課題を一掃する、次世代インターネットVPNサービスの実力

インターネットVPNサービスの市場規模は増加傾向にあるが、パフォーマンスやセキュリティなどの課題が顕在化している。VPNの利用状況などのデータを基にこれらの課題を考察し、次世代インターネットVPNサービスの利点と可能性を探る。

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

ファイアウォールとVPN中心のセキュリティアプローチは危険? 4つの理由を解説

代表的なセキュリティツールとして活用されてきたファイアウォールとVPNだが、今では、サイバー攻撃の被害を拡大させる要因となってしまった。その4つの理由を解説するとともに、現状のセキュリティ課題を一掃する方法を解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。