リモートアクセスVPNの代替策「Smart DNS」「Tor」「Lantern」とは?「リモートアクセスVPN」のリスクと代替策【後編】

リモートアクセス時のセキュリティを確保する手段として「リモートアクセスVPN」が広く使われているが、他にも手段はある。自社の要件に合ったリモートアクセスVPNやその代替策を検討するためのポイントを紹介する。

2020年12月15日 05時00分 公開
[Paul KirvanTechTarget]

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 前編「『リモートアクセスVPN』選びは慎重に 個人データを売る悪徳サービスも」で紹介した通り、「リモートアクセスVPN」はクライアント端末からLANやWANといった社内ネットワークへの安全な接続を可能にする一方、セキュリティは完全とは言えない。リモートアクセスVPNが自社の要件に合わなければ、代替できる手段が幾つかある。本稿はリモートアクセスVPNの導入や変更時に参考になるガイドラインと、主要な代替策を紹介する。

 リモートアクセスVPNまたは代替策の導入検討においては下記のポイントを考慮するとよい。

  • 収容するエンドユーザー数、セキュリティ要件、特定のWebサイトやネットワークへの接続の必要性といった社内の要件を確認する
  • 社内のセキュリティポリシーを確認し、リモートアクセスVPNの要件として満たす必要がある点を洗い出す
  • ソースコードの公開状況や料金といった軸で候補となる製品/サービスを検討する
  • ベンダーのセキュリティポリシーをよく調べ、自社の要件を満たせるかどうか、ベンダーや悪意あるエンドユーザーに悪用される抜け穴がないかどうかなどを確認する
  • 候補となる製品/サービスの試験運用を実施し、セキュリティと動作を検証する
  • 候補となる製品/サービスを利用する他の企業の意見を収集する
  • ベンダーがSLA(サービス品質保証契約)を提供しているかどうかを確認する
  • 運用手順をドキュメント化し、必要に応じてエンドユーザー向けのトレーニングを実施する
  • 障害に備えて、バックアップ用のリモートアクセスVPNを用意する
  • 定期的に試験を実施し、適切に動作しているかどうかを確認する
  • 必要に応じてリモートアクセスVPNの代替策の導入計画を作成する
  • 代替策を導入する場合は、既存のリモートアクセスVPNの障害復旧(DR)計画や運用手順に代替策を組み込む

リモートアクセスVPNの代替策

 予算、セキュリティ、リモートアクセス方法の拡充といった要件に合わせて、検討可能な方法は幾つもある。リモートアクセスVPNの代替策を検討する際は、次のような候補がある。

代替策1.Smart DNS Proxy

 「Smart DNS Proxy」は、クライアント端末のIPアドレス情報を保護するプロキシサーバを提供する。クライアント端末からの接続リクエストをインターネットに送信する前に、ISP(インターネットサービスプロバイダー)がクライアント端末向けに発行したIPアドレスを、Smart DNSが生成した別のIPアドレスで代替する。

代替策2.Tor

 「Tor」(The Onion Router)は、送信元から宛先にデータをルーティングする際に、玉ねぎ(Onion)のように多層にデータを暗号化し、データをカプセル化して保護する。これによってクライアント端末のIPアドレスなどの個人情報をISPや広告業者から保護できる。

代替策3.Lantern

 オープンソースのプロキシサーバ「Lantern」は、通過する全てのデータを暗号化することでセキュリティを確保する。インターネット通過時のエンドユーザーの匿名化を主な目的としているわけではない。高速ブラウジングを特徴とし、IPアドレスによって接続制限がかかるWebサイトやアプリケーションにも接続可能だ。

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