「ミニPC」は仕事用サーバに使えるのか? 超小型でも侮れない実力業務用「ミニPC」とは【前編】

幅10センチ余りの「ミニPC」は、特に設置スペースの狭い小規模拠点に適している。だが業務用サーバとして使えるのか。使えるとすれば、具体的にどのような用途に適するのか。

2020年12月14日 05時00分 公開
[Brian KirschTechTarget]

関連キーワード

NAS | PCサーバ | サーバ仮想化


 小規模な拠点にデータセンター機能を持たせるのは難しい。「ミニPC」はハードウェアが小型であるものの、エンドユーザーが必要とする動作やセキュリティなどの要件を満たせる製品もある。設置スペースが狭い支店や支社で業務システムを運用するには適した端末だ。

 一般的に企業は、遠隔の支社や支店など通称ROBO(リモートオフィス/ブランチオフィス)に勤務するエンドユーザーに対して、専用のWANで本社のデータセンターと接続して業務用システムを利用できるようにする。全社的なネットワーク構成が複雑になり、通信の安定性やセキュリティの確保に配慮が必要になることも珍しくない。この問題を抱えつつ、ROBOのエンドユーザーから出される業務システムへのさまざまな要望に応えるのは容易ではない。

 ROBOが小規模である場合、データセンターで広く使われている一般的な企業向けのサーバは大き過ぎる。ラック型あるいはタワー型のサーバは専用の設置スペースが狭い拠点にはそぐわない。執務エリアに設置するとなるとファンの騒音も気になる。

 クラウドサービスとしてサーバを利用することも可能だが、そのための設計や運用にかかる時間や労力が懸念点だ。一方で小規模なROBO向けのデータセンター機能をパッケージ製品として提供しているベンダーは極めて少ない。そこで一部の企業は業務用のミニPCを使って、本社と同様のデータセンター機能をROBOに構築する。

「ミニPC」は本当に仕事で使えるのか

 ミニPCでハイパーバイザー「VMware ESXi」のような企業向けのソフトウェアを運用できるのだろうか。業務用のスペックを考慮して設計されたミニPCもある。Micro-Star International(MSI)やIntelなど一部のベンダーは、特定のアプリケーションに照準を絞ったミニPCを提供している。

 MSIのミニPC「Cubi 5 10M」は、Intelのプロセッサ「Intel Core i7」の第10世代と最大64GBのメモリを搭載する。Core i7はクアッドコア(4つのコア)だが、1つのコアを疑似的に2つに見せることで処理性能を高める技術「Intel Hyper-Threading Technology」によって、8コアの仮想CPUとして利用できる。これはESXiのホストとして十分なスペックだ。Cubi 5 10Mのサイズは124×124×53.7ミリと小型であるため、小規模拠点でも設置できる。

 これほど小さなマシンでESXiを運用できるとは想像しがたい。Intelの「Intel NUC Mini PC」のようなミニPCでESXiの運用に成功しているミニPCの愛好家は少なくない。

 ミニPCのメリットの一つは、本番用の仮想マシンをROBOで運用できる程度にまでリソースの増設が可能なことだ。ミニPCは幅広いストレージ製品を利用できる。例えばCubi 5 10Mは、フォームファクタ(形状や大きさの仕様)として「M.2」と「2.5インチ」型のSSDの両方、あるいはHDDを搭載できる。これを前提にすれば、M.2のSSDにESXiを、2.5インチのSSDに仮想マシンをインストールするといった運用が考えられる。

 「ミニPCは企業向けの端末ではない」という意見もあるだろう。だが上記のようなストレージ構成であれば、例えばディレクトリサービス「Active Directory」(AD)のドメインコントローラー(認証サーバ)、ファイルサーバ、プリントサーバ、POS(販売時点情報管理)システム、VDI(仮想デスクトップインフラ)システムの6種類を、6台の仮想マシンで運用できる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

市場調査・トレンド SUSE ソフトウエア ソリューションズ ジャパン株式会社

ベンダー依存から脱却、柔軟かつ統合的なLinux環境を構築する方法とは?

エンタープライズ向け技術は、Linuxを中核に据え、オープンソースで動作しているものが多い。しかし近年、一部のベンダーが契約による囲い込みを強めており、ベンダーロックインのリスクが高まっている。安定したLinux運用を実現するには?

製品資料 株式会社野村総合研究所

運用効率化に欠かせないITSMツール、ノンカスタマイズが正解とは限らない?

ITサービスへの要求は年々増大しており、その対応を手作業でカバーするには限界がある。そこで導入されるのがITSMツールだが、特に自動化機能には注意が必要だ。自社に適した運用自動化や作業効率化を実現できるのか、しっかり吟味したい。

製品レビュー 株式会社クレオ

現場でカスタマイズ可能なITシステム、コストと時間をかけずに実現する方法とは

業務効率を高めて生産性を向上させるために、多くの企業がITシステムの導入を進めている。しかし、自社の業務に合わないITシステムを導入してしまっては、逆に生産性が低下する可能性も高い。この問題をどう解決すればよいのだろうか。

製品レビュー グーグル合同会社

重要なエンドポイントを守る、Chromeブラウザを企業向けに安全性を強化する方法

世界中で広く利用されているChromeブラウザは、業務における重要なエンドポイントとなっているため、強固なセキュリティが必要となる。そこでChromeブラウザを起点に、企業が安全にWebへのアクセスポイントを確立する方法を紹介する。

製品資料 グーグル合同会社

Chromeの拡張機能:企業における今求められる管理戦略とは

Google Chromeの拡張機能は生産性の向上に不可欠な機能であり、ユーザーが独自にインストールできる一方、IT管理者を悩ませている。ユーザーデータを保護するためにも、効率的な運用・監視が求められるが、どのように実現すればよいのか。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

「ミニPC」は仕事用サーバに使えるのか? 超小型でも侮れない実力:業務用「ミニPC」とは【前編】 - TechTargetジャパン システム運用管理 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。