ITRが発表した調査結果によれば、国内における2020年度のERP市場の売上金額は前年度比6.9%増にとどまったが、2021年度は2桁成長になる。その背景と、そこから見えるERPの潮流とは。
調査会社アイ・ティ・アール(ITR)は、ERP(統合業務)製品の国内における市場規模の推移と予測を発表した。2020年度のERP市場の売上金額は、前年度比6.9%増の1229億円だった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によって企業活動が停滞したことを受け、2020年度の成長率は1桁台にとどまった。
一方で、2021年度は前年度比14.6%増の1409億円になるとITRは予想しており、国内のERP市場は復調傾向になる。老朽化したERPシステムの更改に加え、新規案件の需要もあることなどから、同社はERP市場の2020〜2025年度のCAGR(年平均成長率)は11.6%になると予測する。
2020年度のERP市場について、ITRはオンプレミスインフラで利用するERPパッケージ、IaaS(Infrastructure as a Service)で利用するERPパッケージ、SaaS(Software as a Service)として利用するERPサービスの3区分に分類した(図)。オンプレミスインフラ向けとIaaS向けを合わせたパッケージ市場は前年度比2.4%減のマイナス成長になったのに対し、SaaS市場は同27.2%増となった。ERPベンダーは新規案件でSaaSの販売を推進すると同時に、既存のパッケージ導入企業に対してもSaaSへの移行を促している。こうしたことから、2020〜2025年度の区分別のCAGRは、パッケージ市場が0.2%、SaaS市場が24.1%になるとITRは予測する。
ERPパッケージ市場をオンプレミス向けとIaaS向けで比較すると、2019年度から2021年度にかけてオンプレミス向けは市場規模が縮小する一方、IaaS向けは20%前後の成長率を維持する結果となった。企業が基幹システムにIaaSを選択する傾向が顕著になっているため、ITRは2022年度以降もIaaS向けのパッケージ市場が拡大する傾向が続くとみている。
コロナ禍によって働く環境が多様化し、オフィスで紙を扱う旧来の業務体制を変革する必要に迫られる企業は依然として存在する。それを背景にして、ITRのプリンシパル・アナリストである浅利浩一氏は「企業は基幹システムの刷新においてクラウドERPの優先度を高めている」と指摘する。
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