AWSはワークロードのインフラに複数のデータセンターを利用する「マルチリージョン」「マルチAZ」を構成可能だ。そもそもマルチリージョンとマルチAZの違いとは何か。どちらを選ぶべきなのか。
Amazon Web Services(AWS)の「リージョン」「アベイラビリティゾーン」(AZ)を利用することで、ユーザー企業はワークロード(アプリケーション)のインフラを地理的に分散させることができる。ワークロードを実行する際に、複数のリージョンを利用することを「マルチリージョン」、複数のアベイラビリティゾーンを利用することを「マルチAZ」と呼ぶ。AWSの利用料金とワークロードの運用方法に与える影響は、マルチリージョンとマルチAZで異なる。本稿は2つの違いを説明する。
リージョンは地域ごとのデータセンターの集合体であり、リージョンを構成する1つまたは複数の小規模なデータセンターをアベイラビリティゾーンと呼ぶ。複数のリージョンまたはアベイラビリティゾーン間でミラーリングをすることで、ワークロードの冗長性と可用性を高められる。例えばあるアベイラビリティゾーンに障害が発生しても、別のアベイラビリティゾーンでワークロードの稼働を継続できるようになる。複数のリージョンでのワークロードの運用にも同じことが言える。
マルチリージョンにせよ、マルチAZにせよ、複数のデータセンターを利用する構成を採用すれば、AWSの利用料金は高くなる。冗長なワークロードをホストするコストに加え、データをリージョン間で移動する際のエグレス(出力)料金が掛かる。
全てのワークロードを同じリージョンに保持すると、利用料金の計算と予測が容易になる。AWSはほとんどのサービスの利用料金をリージョン別に設定している。特定のリージョンでワークロードを稼働させる限り、そのリージョン内のどのアベイラビリティゾーンを使用しても、サービスの利用料金は同一だ。
複数のリージョンを使用すると、利用料金の予測が難しくなる。仮想マシンサービス「Amazon Elastic Compute Cloud」(EC2)の仮想サーバ(インスタンス)の利用料金は、同じ種類のインスタンスを利用しても、リージョンが違えば増減する可能性がある。例えば2022年7月時点の一般的なインスタンスタイプ「c6g.large」の利用料金は、通常の従量課金体系である「オンデマンドインスタンス」で利用した場合、以下の通りだ。
マルチAZでワークロードを実行するのは、マルチリージョンで実行するよりも簡単だ。大半のAWSサービスは、AWSの管理コンソール「AWS Console」でアベイラビリティゾーンを追加したり、削除したりできる。必要な作業はアベイラビリティゾーンの設定をコンソールで変更することだけだ。リージョンの場合は、使用する各リージョンに、個別にワークロードを構築しなければならない。
マルチリージョンとマルチAZは、同じ水準の冗長性を確保できる。ワークロードの冗長性を高めたいだけなら、コストとワークロード管理の点で、より扱いやすいマルチAZが適している。
マルチリージョンは、災害復旧(DR)インフラの構築や、地理的に離れた場所にいるエンドユーザーへワークロードを提供する際に適している。
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