AzureやGCPといったクラウドサービス群に加えて、オンプレミス型プライベートクラウドを構築、活用しているWalmart。5500店舗以上での快適なシステム利用を支えるために、どのようなインフラを構築しているのか。
米国に本部を置くスーパーマーケットチェーンのWalmart(ウォルマート)は、ワークロード(アプリケーション)を実行するインフラとして、Microsoftの「Microsoft Azure」とGoogleの「Google Cloud Platform」(GCP)といったクラウドサービス群と、オンプレミス型プライベートクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドを利用している。3つのクラウドの中からワークロードに合ったクラウドを選択できるようにすることで、クラウドサービスのコスト削減を実現した。Walmartの事例から、ハイブリッドクラウドの活用に成功する方法を探る。
インフラの選択肢を増やそうとするWalmartの取り組みは、クラウドサービスの活用だけにとどまらない。同社は、1万台のサーバによるオンプレミス型プライベートクラウドを構築し、物流施設と5500店舗以上で活用している。
オンプレミス型プライベートクラウドの構築には、クラウド構築ソフトウェアの「OpenStack」を利用している。「われわれは世界で最も大規模にOpenStackを展開している企業の一つだ」と、Walmartでインフラサービス担当バイスプレジデントを務めるケビン・エバンス氏は主張する。
2022年に入ってWalmartは、米国内のオンプレミス型プライベートクラウドを、太平洋岸北西部とテキサス州周辺、バージニア州周辺の3つの地域に分散させた。これにより複数クラウド間の通信遅延を抑えやすくなり、ハイブリッドクラウドの拡張がより容易になったという。「新学期やクリスマスなどのショッピングシーズンに急増するアクセス量に合わせて、店舗システムやWebサイトのリソースを拡張しやすくなった」と、エバンス氏は話す。
「クラウドベンダーは協力的だった」とエバンス氏は話す。エバンス氏によれば、MicrosoftとGoogleはWalmartの要望に応じて、幾つかのソフトウェアやクラウドサービスを3つのインフラで実行可能にした。
Walmartの場合は、その企業規模がパートナーとの交渉に有利に働いたとも言える。エバンス氏は、Walmartより小規模の企業でも、クラウドベンダーに自社の要望を伝えるべきだと話す。「現在のクラウドベンダーは、自社のバリュープロポジション(価値提案)がソフトウェアにあり、そのデータセンターにあるとは限らないことに気づいている」(同氏)
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