「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」とオンプレミス型プライベートクラウドを組み合わせた、Walmartのハイブリッドクラウド。その中核要素が独自開発の「WCNP」だ。その仕組みとメリットを説明する。
世界でスーパーマーケットを展開するWalmart(ウォルマート)は、クラウドサービス群であるMicrosoftの「Microsoft Azure」とGoogleの「Google Cloud Platform」(GCP)、オンプレミス型プライベートクラウドによるハイブリッドクラウドを全社的に利用している。この3つのクラウドから、開発者がワークロード(アプリケーション)に最適なクラウドを選択できるようにすることで、インフラのコスト削減とアプリケーション開発作業のスピードアップを実現した。Walmartのクラウド活用方法と、そのコスト削減効果を詳しく説明する。
Walmartのハイブリッドクラウドの中核を成すのが、ハイブリッドクラウド構築システム「Walmart Cloud Native Platform」(WCNP)だ。WCNPが、3つのクラウドの違いをアプリケーション開発者に意識させない役割を果たしている。
主要なWCNPの構成要素として、各クラウドを横断的に管理可能な共通のインフラ管理コンソールがある。開発者はこのインフラ管理コンソールを使うことで、各クラウドで異なるストレージやディスクの種類について学んだり、複数の用語を覚えたりする困難な仕事から解放される。
WCNPのインフラ管理インタフェースのおかげで、開発者はワークロードの構築やクラウド間の移行を、毎回ほぼ同じ手順で実行できる。「当社のワークロードは特定のクラウドに依存しない。どこで実行しようが、ワークロードに問題は起こらない」と、Walmartでインフラサービス担当バイスプレジデントを務めるケビン・エバンス氏は言う。
各ワークロードの実行に必要な条件を満たし、かつ最も費用対効果の高いクラウドを開発者が選択できるようにするには、3つのクラウド間で一貫性を持たせることが重要だとエバンス氏は話す。クラウドに選択肢がなければ、Walmartがクラウドベンダーに支払う金額は「今より数百万ドル(数億円程度)高くなっていた可能性がある」と同氏は言う。
Walmartは、開発者がクラウド間の違いを意識することなく、クラウドを自由に選択できるようにすることで、クラウドサービスへの支出を削減できたという。複数のクラウドで同一の管理インタフェースを利用できるようにすれば、開発者はオンプレミス型プライベートクラウドで実行するワークロードと、クラウドサービスの間でデータをやりとりするといった複雑な作業を単純化できる。Walmartは主にAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を利用して、異なるワークロードやクラウド間でのデータ移動を実現している。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。
半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。
システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。
SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。
生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。
クラウド活用で顕在化するコスト増大と活用スキル不足の課題、解決の決め手は? (2025/5/9)
KDDIの通信品質と事業成長を支える“共通インフラデータ基盤”構築の舞台裏 (2025/3/12)
高まるSaaSバックアップ需要で「ストック収益」を拡大するには (2025/1/22)
大和総研に聞く、基幹システムのモダナイズ推進を成功に導いた四つのポイント (2024/12/23)
「オンプレミス仮想化基盤」のモダナイゼーションに最適なクラウド移行の進め方 (2024/11/11)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。