「LTOテープ」が使われ続ける理由はその“とがった哲学”にありデータ増に対する磁気テープ戦略【第3回】

各種のストレージが使われる中で、LTO規格のテープが使われ続けている理由はどこにあるのか。LTOを策定する業界団体TPCsが、将来に向けて重視しているポイントとは。

2022年11月28日 05時00分 公開
[Adam ArmstrongTechTarget]

関連キーワード

LTO | データ | データセンター | ストレージ


 激戦のストレージ市場において、シェアの一角を占め続けているテープ規格「LTO」(リニアテープオープン)。規格のロードマップには、現行の「LTO-9」から5世代先の「LTO-14」までが盛り込まれた。LTOを策定する業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」(TPCs)は、将来のストレージ市場を見据えて、何を重視しているのか。

背景にあるのは「LTOテープが選ばれる理由」

会員登録(無料)が必要です

 LTOは新規格が出るたびにデータ転送速度が向上している。ただし、TPCsを構成する一社Hewlett Packard Enterprise(HPE)でニアラインストレージ部門の製品マーケティングマネジャーを務めるローラ・ロレド氏によると、LTOはデータ転送速度には重点を置いていない。

 では何が最も大事なのか。ロレド氏は「目標とする市場投入時期までに実現すべき最優先事項は“容量”だ」と話す。TPCsが重視するのは、「5年ごとに容量とデータ転送速度を向上させること」ではなく、「2~3年ごとに容量を倍増させ続けること」にあるという。

 データ転送速度を高速化することも可能だが、企業がLTOテープを利用するのはデータのアーカイブ(長期保存)やバックアップが主な目的だ。それを前提にすれば、容量の優先順位が最も高くなる。

 2022年9月、TPCsがロードマップに盛り込んだLTO-14の容量は、テープカートリッジ当たりで非圧縮時576TB、圧縮時1.44PBという内容だった。これはロードマップにある「LTO-13」の容量の倍となる。

 「LTOが選ばれる理由は、信頼性とコストの安さだ」と、TPCsを構成する一社Quantumで製品部門のシニアディレクターを務めるエリック・バシエ氏は語る。TPCsが注力する主なイノベーション(技術革新)は「面密度の向上」にある。つまりテープの記録媒体において、1平方インチ当たりに保存できるデータ量を増やすことが大事だとバシエ氏は強調する。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「SATA接続HDD」が変わらず愛される理由とは

HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

市場調査・トレンド プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

クラウド統合を見据えたメインフレームのモダナイズ、3つの手法はどれが最適?

長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。