各種のストレージが使われる中で、LTO規格のテープが使われ続けている理由はどこにあるのか。LTOを策定する業界団体TPCsが、将来に向けて重視しているポイントとは。
激戦のストレージ市場において、シェアの一角を占め続けているテープ規格「LTO」(リニアテープオープン)。規格のロードマップには、現行の「LTO-9」から5世代先の「LTO-14」までが盛り込まれた。LTOを策定する業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」(TPCs)は、将来のストレージ市場を見据えて、何を重視しているのか。
LTOは新規格が出るたびにデータ転送速度が向上している。ただし、TPCsを構成する一社Hewlett Packard Enterprise(HPE)でニアラインストレージ部門の製品マーケティングマネジャーを務めるローラ・ロレド氏によると、LTOはデータ転送速度には重点を置いていない。
では何が最も大事なのか。ロレド氏は「目標とする市場投入時期までに実現すべき最優先事項は“容量”だ」と話す。TPCsが重視するのは、「5年ごとに容量とデータ転送速度を向上させること」ではなく、「2〜3年ごとに容量を倍増させ続けること」にあるという。
データ転送速度を高速化することも可能だが、企業がLTOテープを利用するのはデータのアーカイブ(長期保存)やバックアップが主な目的だ。それを前提にすれば、容量の優先順位が最も高くなる。
2022年9月、TPCsがロードマップに盛り込んだLTO-14の容量は、テープカートリッジ当たりで非圧縮時576TB、圧縮時1.44PBという内容だった。これはロードマップにある「LTO-13」の容量の倍となる。
「LTOが選ばれる理由は、信頼性とコストの安さだ」と、TPCsを構成する一社Quantumで製品部門のシニアディレクターを務めるエリック・バシエ氏は語る。TPCsが注力する主なイノベーション(技術革新)は「面密度の向上」にある。つまりテープの記録媒体において、1平方インチ当たりに保存できるデータ量を増やすことが大事だとバシエ氏は強調する。
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