企業のシステム設計において重要性を増してきた「DPU」。DPUが登場する以前には「SmartNIC」があった。それぞれCPUからどのような役割を引き受け、それがなぜ必要なのか。
CPUの過負荷の問題を解消するために、幾つかの方法が登場した。ネットワークカード(NIC)へのオフロードだけでは解決せず、「SmartNIC」が登場し、それに続いて「DPU」(データ処理装置)が登場した。
企業が頻繁にデータを扱うようになる中で、NICにパケット(ネットワークで送受信するデータの伝送単位)の処理をオフロードするだけでは不十分になった。その結果、パケット処理のオフロード以外のタスクも担うSmartNICが誕生した。NICに対するSmartNICの特徴はプログラム可能な機能を備えていることや、独自のCPUやメモリ、OSを備えていることなどにある。
基本的にSmartNICはNICよりも多くの処理をCPUからオフロードすることができる。SmartNICの製品ごとに違いはあるものの、オフロードの対象は
といったタスクが一般的だ。
SmartNICの価格は一般的なNICよりも高くなる傾向にあるが、圧縮と解凍や、暗号化と復号のためにサーバのタスクを遅滞させたくないのであれば、NICではなくSmartNICを使うのは当然の選択だと言える。
帯域幅(回線路容量)のより広いネットワークが登場し、企業のIT管理者はストレージを接続するネットワークに高速性やさまざまな機能を求めるようになった。そうした中で、SmartNICを進化させたDPUが登場した。
DPUがプログラム可能であることや、CPUを搭載する点はSmartNICと同じだが、両者は異なる。DPUは、特定の用途向けにプログラム可能な集積回路である「FPGA」(Field Programmable Gate Array)や「ASIC」(Application Specific Integrated Circuit)のような、カスタム可能なプロセッサを搭載する。DPUはさまざまなタスクのオフロードを引き受けることが可能だ。その対象としては例えば
などがある。
DPUはI/O(入出力)などの性能に優れたストレージを利用する際に役立つ。ストレージインタフェース規格「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)準拠のストレージと同じように、DPUを利用することで低レイテンシのストレージ接続を実現できる可能性がある。これはDPUの重要な成果だが、まだストレージ用のネットワークにおいては課題がある。その一つが、ブリッジ(中継器)やスイッチを取り入れたネットワーク「スイッチドネットワーク」における課題だ。
後編は、DPUとスイッチドネットワークの関係を解説する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。
カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。
メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。
ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。
長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。