CPUへの負荷が高まる一方で、「ムーアの法則」が続かずCPUの処理が追い付かなくなるという現象が発生している。そこで関心を集めているのが、ネットワークインタフェースカード(NIC)の役割だ。
通常、CPU(中央処理装置)はコンピュータのタスクを全面的に担っている。これは企業のシステム設計においては標準的だが、企業のデータ活用が進む中で、もはや適切ではなくなりつつある。その代わりに重要度が高まってきたのが、ネットワークカード(NIC)の、ある役割だ。
NICは、ネットワークの需要増に応じるために、時代とともに進化してきた。NICは一般的にサーバに付属しており、
といったように、帯域幅(回線路容量)によってそのタイプを分類できる。標準的なアプリケーションのほとんどは、これらの帯域幅のNICで十分だと言っていい。これらに加えて、100Gbpsや200Gbps、400Gbpsといったより広い帯域幅のネットワークも普及してきた。特にこうしたネットワークが使われるのは、例えばストレージを接続するネットワークだ。
基本的に、NICはパケット(ネットワークで送受信するデータの伝送単位)の処理をサーバのCPUに受け渡す。ネットワークの高速化(帯域幅の拡大)に伴い、CPUがパケットを処理する際の負担が大きくなってきた。これに伴い、CPUに過負荷が掛かることが問題になり始めた。
CPUはパケットの処理に掛かる負荷が増えるほど、アプリケーション側の処理にリソースを割けなくなってしまう。この問題を解決するために、CPUの処理の一部をNICのプロセッサに担わせる、いわゆる「NICへのオフロード」という手法が登場した。
NICへのオフロードが重要になった背景には、「ムーアの法則」の崩れがある。ムーアの法則は、集積回路に搭載されるトランジスタの集積度が2年ごとに倍増するという法則を指す。この法則に従ってCPUが搭載するトランジスタが増えれば、CPUはより多くのタスクを担えるようになる。そうなるとNICにオフロードをする必要性は高くはなくなる。ところがムーアの法則が続かなくなることで、NICへのオフロードは「高価で不要な選択肢」ではなく、重要な選択肢になってきたのだ。
CPUからのオフロードの対象になりやすいのがパケットの処理だ。CPUは急速に増大する、ネットワークのタスクから解放されることで、アプリケーション側のタスクにより集中できるようになる。
中編は、NICへのオフロードを進化させた「SmartNIC」と「DPU」(データ処理装置)について説明する。
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