「SSD」が全然売れなくなった理由 市場は“崩壊寸前”かストレージ市場“激変”の末路【第1回】

SSD関連ベンダーの業績が、2022年後半に軒並み急落。好調だったと言える主要ベンダーはなく、大打撃はSSD市場全体に及んでいる。何が起きているのか。

2023年04月24日 05時00分 公開
[Adam ArmstrongTechTarget]

 PCやデータセンターのストレージなど、さまざまな用途で使われる「SSD」の市場に、異変が起きている。一時的にSSDの需要が急増したことはベンダーにとって幸運だったが、その後迎えたのが冬の時代。やってきたのは“大寒波”だ。

SSD市場にやってきた“異変”は大き過ぎた

 SSDの需要低迷を受けて、NAND型フラッシュメモリのベンダーは業績を立て直そうと悪戦苦闘している。NAND型フラッシュメモリの需要動向は、基本的には一定の法則で動いており、その軌道から大きく外れることはない。だが2022年以降の動きは少し違った。

 2022年4月以降、NAND型フラッシュメモリの価格は着実に下がっている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)による需要増の反動や、インフレ要因が重なり、需要の下落が通常のサイクルよりも際立つものになった。

 そうした中、NAND型フラッシュメモリを製造するSamsung Electronics、SK hynix、Micron Technologyといったベンダーは、減収となった業績を相次いで報告した。

 SK hynixの2022年10~12月期の売上高は7兆6990億ウォンで前年同期比約38%減。Micron Technologyの2022年9~11月期の売上高は40億8500万ドルで、前年同期比約47%減という結果だった。幅広く製品を手掛けるSamsung Electronicsも、2022年10~12月期の売上高は70兆4600億ウォンと、前年同期比約8%の減収になった。

 パンデミックの発生後、NAND型フラッシュメモリ市場ではベンダー各社に特需があった。調査会社Gartnerのリサーチバイスプレジデントであるジョゼフ・アンスワース氏は、その理由は企業が一斉にテレワークの体制に移行し、従業員が自宅で仕事をするためのノートPCを新たに購入する動きが目立ったためだと説明する。

 そうしたブームが落ち着き、製品の供給過多が目立ち始めた。一方、インフレによる経済の不確実性が広く認識されるようになり、消費者は購買行動を抑制し始めた。それらの結果として「需要が崩壊した」とアンスワース氏は語る。

 ノートPCやサーバ、スマートフォンなど、さまざまなデバイスがNAND型フラッシュメモリを搭載する。そうしたデバイスの販売が鈍ったことで、NAND型フラッシュメモリベンダーが大打撃を受けた格好だ。


 第2回は、ベンダー各社の業績を基に市場環境を深堀りする。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

空冷だけではなぜ不十分? データセンターの熱負荷対策をどうする

CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?

製品資料 Dropbox Japan株式会社

ファイルサーバをアウトソーシング、「クラウドストレージサービス」の実力

中堅・中小企業の中には、IT担当者が社内に1~3人しかいないという企業も少なくない。そのような状況でも幅広い業務に対応しなければならないIT担当者の負担を減らす上では、ファイルサーバをアウトソーシングすることも有効だ。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...