SSD関連ベンダーの業績が、2022年後半に軒並み急落。好調だったと言える主要ベンダーはなく、大打撃はSSD市場全体に及んでいる。何が起きているのか。
PCやデータセンターのストレージなど、さまざまな用途で使われる「SSD」の市場に、異変が起きている。一時的にSSDの需要が急増したことはベンダーにとって幸運だったが、その後迎えたのが冬の時代。やってきたのは“大寒波”だ。
SSDの需要低迷を受けて、NAND型フラッシュメモリのベンダーは業績を立て直そうと悪戦苦闘している。NAND型フラッシュメモリの需要動向は、基本的には一定の法則で動いており、その軌道から大きく外れることはない。だが2022年以降の動きは少し違った。
2022年4月以降、NAND型フラッシュメモリの価格は着実に下がっている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)による需要増の反動や、インフレ要因が重なり、需要の下落が通常のサイクルよりも際立つものになった。
そうした中、NAND型フラッシュメモリを製造するSamsung Electronics、SK hynix、Micron Technologyといったベンダーは、減収となった業績を相次いで報告した。
SK hynixの2022年10〜12月期の売上高は7兆6990億ウォンで前年同期比約38%減。Micron Technologyの2022年9〜11月期の売上高は40億8500万ドルで、前年同期比約47%減という結果だった。幅広く製品を手掛けるSamsung Electronicsも、2022年10〜12月期の売上高は70兆4600億ウォンと、前年同期比約8%の減収になった。
パンデミックの発生後、NAND型フラッシュメモリ市場ではベンダー各社に特需があった。調査会社Gartnerのリサーチバイスプレジデントであるジョゼフ・アンスワース氏は、その理由は企業が一斉にテレワークの体制に移行し、従業員が自宅で仕事をするためのノートPCを新たに購入する動きが目立ったためだと説明する。
そうしたブームが落ち着き、製品の供給過多が目立ち始めた。一方、インフレによる経済の不確実性が広く認識されるようになり、消費者は購買行動を抑制し始めた。それらの結果として「需要が崩壊した」とアンスワース氏は語る。
ノートPCやサーバ、スマートフォンなど、さまざまなデバイスがNAND型フラッシュメモリを搭載する。そうしたデバイスの販売が鈍ったことで、NAND型フラッシュメモリベンダーが大打撃を受けた格好だ。
第2回は、ベンダー各社の業績を基に市場環境を深堀りする。
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