プログラムの実行を高速化するために役立つ「マルチスレッド」。プログラミング言語「Python」と「Go」でマルチスレッドを利用する際、どのような違いがあるのか。
プログラミング言語「Python」と「Go」(「Golang」とも)の間には、開発者にとって見逃せない幾つかの違いがある。両者の間にある5つの違いのうち、4つ目を紹介しよう。取り上げるのは、プログラムの実行時だけではなく、開発時の快適さをも左右する“あの違い”だ。
開発者は概して、プログラムの実行を高速化したり、プログラムが扱えるデータ量を増やしたりすることに重きを置く。これらを実現するための方法に「マルチスレッド」がある。マルチスレッドは、複数のスレッド(プログラムの実行単位)を並行して実行することだ。
PythonはOSのスレッドを使って、マルチスレッドを実現する。Goは、OSとは独立した独自のスレッド「goroutine」を用いる。goroutineはOSのスレッドと比べて、作成や切り替えに要するオーバーヘッド(余分な処理による負荷)が軽くなるようにしている。
以下の例は、マルチスレッドを実行するPythonのプログラム例だ。
import threading def myFunc(): print("Hello World!") t1 = threading.Thread(target=myFunc) t1.start()
1行目で「threading」という、マルチスレッドを扱うためのモジュール(プログラム部品群)を読み込む。3、4行目で「Hello World!」という文字列を出力する関数(関数名を「myFunc」と指定)を定義する。
6行目ではthreadingのスレッドに関するクラス(データや操作をまとめたオブジェクトの設計図)である「Thread」によって、スレッド(名称を「t1」と指定)を生成。Threadの引数「target」で、スレッド開始時にmyFuncを呼び出すように指定している。7行目でスレッドを開始し、myFuncを実行する。
上記のPythonプログラムと同じ動作をするプログラムを、Goで実装した例が以下だ。
func myFunc() { fmt.Println("Hello World!") } go myFunc()
1行目から3行目までで定義する関数(関数名を「myFunc」と指定)は、標準出力に「Hello World!」と出力する。5行目で「go」というキーワードを使うことで、myFuncをgoroutineで実行できる。
関数をスレッドで実行する際、Pythonでは都度スレッドを作成する必要がある。Goでは、原則として関数の種類にかかわらず、goというキーワードを使って実行すればよい。そのためマルチスレッドでは、PythonプログラムよりもGoプログラムの方が単純になりやすい。
第6回は、コンテナを利用する際の比較ポイントを解説する。
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