“異色のベンダー”IBMの戦略に見る「これからのストレージ」とは?IBMの過去と現在【第4回】

IBMは戦略の中心を、かつて事業をけん引していたオンプレミスサーバから、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドに移している最中だ。同社はどのような製品やサービスの提供に注力しているのか。

2023年11月01日 05時00分 公開
[Antony AdsheadTechTarget]

 IBMは、多岐にわたるストレージ製品を取りそろえるベンダーであり、さまざまなアプリケーション向けのストレージを提供する。現在の主な注力分野にはフラッシュストレージやAI(人工知能)技術、クラウドサービス、クラウドネイティブアプリケーション、コンテナなどがある。特にどのような製品やサービスの提供に注力しているのか。

IBMが見据えるこれからのストレージ市場

会員登録(無料)が必要です

 コンピューティングとストレージの将来は、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドにあるという方針をIBMは示す。この方針の鍵となるのが、分散ストレージソフトウェア「IBM Ceph Storage」と、コンテナ管理ツール「Red Hat OpenShift」だ。

 IBMはパブリッククラウドの事業を独自に保有しつつ、ブロック、ファイル、オブジェクトのストレージサービスを提供する点で、ストレージアレイベンダーの中では異色の存在だと言える。同社のハードウェアとストレージソフトウェア製品はハイブリッドクラウドで運用することも可能だ。

コンテナと従量課金制にかじを切るIBM

 Red Hatの買収を経てクラウドサービスに方針転換を決めたIBMにとって、コンテナは重要な要素だ。コンテナ管理ツールの例には、Red Hat OpenShiftや「IBM Cloud Kubernetes Service」がある。

 コンテナ化されたアプリケーションの管理には「Red Hat OpenShift Container Platform」が活躍する。IBM Cloud Kubernetes Serviceは、クラウドサービス群「IBM Cloud」におけるコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」クラスタの作成と管理を可能にする。

 IBMがサービスとして提供するストレージ「IBM Storage as a Service」は、フラッシュストレージアレイ「IBM Storage FlashSystem」「IBM Storage DS8000」をベースにする。オンプレミスシステムとクラウドサービスの両方で利用でき、ニーズに応じて基本容量を設定できる。

 「IBM Storage Utility」は従量制課金を採用するストレージサービスで、ユーザー企業はストレージ使用量に応じて料金を支払う。オーバープロビジョニング(過度な配備)や急激な変更は、クラウドサービス監視ツール「IBM Storage Insights」による監視で回避可能だ。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

空冷だけではなぜ不十分? データセンターの熱負荷対策をどうする

CPUやGPUの性能向上に伴い、データセンターでは今、発熱量の増加にどう対応するかが課題となっている。特に高密度なサーバ環境では、従来のファンやヒートシンクに頼るだけでは熱管理が難しい。こうした中、企業が採用すべき手段とは?

比較資料 アイティメディア広告企画

ユーザーレビューで徹底比較、オンラインストレージ選定ガイド【2025年冬版】

オンラインストレージは幅広い用途で利用されるだけに、市場に提供される製品も多数に上る。最適なサービスを選定するための基礎知識を解説するとともに、ユーザーレビューから分かったサービスの違いを明らかにする。

製品資料 Dropbox Japan株式会社

ファイルサーバをアウトソーシング、「クラウドストレージサービス」の実力

中堅・中小企業の中には、IT担当者が社内に1~3人しかいないという企業も少なくない。そのような状況でも幅広い業務に対応しなければならないIT担当者の負担を減らす上では、ファイルサーバをアウトソーシングすることも有効だ。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。