「Appleの有料サポート契約」が必要かどうかを決める条件とは?Appleのサポート「AppleCare」「AppleCare+」の違い【第4回】

Appleはユーザー企業向けに、同社製端末のサポートサービスを幾つか提供している。その中から「AppleCare for Enterprise」のサービス内容と、自社に合ったサポートサービスを選ぶためのポイントを説明する。

2023年11月24日 08時00分 公開
[Robert SheldonTechTarget]

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 Appleは「Mac」や「iPhone」などの同社製品を購入した企業や個人の消費者向けに、各種のサポートサービスを提供している。無料の「Apple Care」や有料の「AppleCare+」に加えて、Apple製品を業務利用するためのサービスを組み込んだ、ユーザー企業向けのサポートサービス「AppleCare+ for Business Essentials」と「AppleCare for Enterprise」がある。大企業のエンドユーザーとIT部門に向けてAppleが提供するサポートサービスが、AppleCare for Enterpriseだ。

AppleCare for Enterpriseとは? 有料サポートが必要かどうかの条件

 AppleCare for Enterpriseの対象にはMacとiPhone以外に「iPad」や、Mac専用モニター「Studio Display」が含まれる。ユーザー企業は、エンドユーザーに対する24時間年中無休のテクニカルサポートの他、2年間、3年間、4年間いずれかの出張修理サービスなどが利用できる。さらに端末が故障した場合は最短1営業日で、その端末の修理または交換が完了する。ユーザー企業がApple StoreやApple正規サービスプロバイダー(AASP)に端末を持ち込むこともできる。

 AppleCare for Enterpriseのユーザー企業は、保有する保証対象のMacとStudio Display の総台数のうち4%を上限とする修理サービスが受けられる。補償対象のiPhoneまたはiPadは、総台数の10%が上限だ。エンドユーザーはApple製端末に加え、ソフトウェアのテクニカルサポートを受けることができる。ソフトウェアは「macOS」や「iOS」などのOSだけでなく、「Pages」「Keynote」「Numbers」などのApple純正アプリケーションも対象となる。

 AppleはAppleCare for Enterpriseのユーザー企業に対し、端末とソフトウェアの診断やトラブルシューティングに応じる「Help Desk」も提供する。ユーザー企業のIT部門に合わせたサポートを年に1件受けることができる。

 AppleCare for Enterpriseは最小200台から契約できる。1000台、5000台と台数に応じた料金が段階的に設定されている。ただし詳細な利用料金やオンサイトサービスの料金体系をAppleは明らかにしていない。そのため導入を検討する企業が見積もりや具体的な情報を得るためには、Appleか認定販売業者に問い合わせる必要がある。

AppleCare+に企業が加入する価値はあるか?

 IT管理者が数種類あるAppleサポートサービスのうち、いずれかの契約を検討する際には、組織の規模や業種、端末の台数といった定量的な要素に加え、従業員の端末の使い方などを考慮して費用対効果を分析するのがよい。自社が保有するApple製端末に適用されるAppleCare+の契約内容には入念に目を通すべきだ。

 延長保証やテクニカルサポート、過失や事故による損傷の保証は、一般消費者向けのAppleCare+に含まれている。さらに高度な保証を求める企業は、AppleCare+ for Business EssentialsやAppleCare for Enterpriseの方が適している可能性がある。ただしいずれのサポートサービスを選んでも、自社が望むサービスを全て受けられるとは限らない。例えばAppleのMDM(モバイル端末管理)サービスである「Apple Business Essentials」はサードパーティーのMDMに対してサポートサービスを提供していない。

 IT管理者は、自社で管理しているApple製端末の数と、自社で使う業務PCやモバイル端末の中での、Apple製端末の役割も考慮すべきだ。もし組織内にApple製デバイスが数台しかないのならば、社内でIT部門全体を対象に研修を実施してApple製端末の管理方法を教えるよりも、利用料金を支払ってAppleが用意しているサポートサービスに入る方が、より手間が掛からず費用対効果が高くなる可能性がある。

 自社の企業規模はサポートサービスを選ぶ際の重要なポイントになる。Apple製品を大量に購入したが有料のサポートサービスを契約しないユーザー企業は、端末の故障率から判断して、長期的にサポートサービスの利用料金を払うよりも、故障した際に都度修理料金を支払う方が安く済むと考えているのだろう。一般的には企業規模が大きくなればなるほど、端末が故障した際のコストの影響が小さく、企業規模が小さいほど修理や交換に掛かるコストの影響が大きくなる傾向にある。

 AppleCare+ for Business Essentialsを契約すると、iPhoneやMacのサポート期間を延長でき、同時にIT部門のデバイス管理の負荷を軽減できる可能性がある。屋外やオフィス外で働く従業員にiPhoneを購入する企業は、AppleCare+の追加サービスとして提供されている盗難・紛失プランの契約も検討するとよい。IT担当者が自社のApple製端末の利用状況と、各サポートサービスのメリットとデメリットを綿密に把握すれば、自社にとってAppleのサポートサービスが加入する価値があるかどうかを的確に判断できる。

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